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「退職の意思を伝えたら、会社の人が自宅に押しかけて…」専門弁護士が明かす、本当にあった“退職代行トラブル”

弁護士・竹内瑞穂さんインタビュー #2

2023/01/28

genre : ライフ, 社会

note

竹内 別に甘えじゃないですよ。もし甘えだとしても、「甘えて何が悪いの?」と思いますね。弁護士は、代理人として依頼者の代わりに退職を進めます。この代理人という立場は、本人がやれることを本人に代わって行うことができると法的に認められているものです。その趣旨に従って代行手続きをしているだけなので、何の問題もありません。

 それに退職代行が甘えかどうかは、個人的にはどっちの意見があってもいいと思うんですよね。それよりも、退職代行が浸透してきている現実を、企業側がどう受け止めているかのほうが大事ではないでしょうか。「なんで退職代行を使わないと辞められない人がいるのか」を考えることのほうが重要です。

 

退職代行サービスを始めたきっかけ

――最後に、竹内さんが退職代行に力を入れている理由を教えてください。通常の弁護士業務をこなしながら退職代行にも対応しているんですよね?

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竹内 そうですね、法律事務所に所属して、交通事故や離婚訴訟、刑事事件など、幅広く弁護士業務をしています。退職代行の案件は、その日に連絡が来て、次の日には通知を出さないといけない、というケースが多いです。時間的には、早朝や夜中に書面作成や発送手続きが必要になることもあり、ハードスケジュールになることもあります。でも、この仕事をやる意義がすごく大きいと思っているからやっています。

――始めたきっかけは?

竹内 弁護士の友人が先に退職代行サービスを立ち上げていて、その理由に感銘を受けたから、ですね。彼女には「退職できずに過労死や自殺をする人を減らしたい」という思いがあったのです。

退職で悩んでいるのなら、まずは一度相談を

――実際に退職代行サービスを利用した人には、どんな変化がありましたか?

竹内 前向きになりますね。私は、退職できて前向きにならなかった人を見たことがない。「退職できますよ」とお伝えした時点で、みなさん声のトーンが明るくなるんですよ。それが嬉しいから、この仕事を続けているのかもしれません。

 

――退職代行サービスの利用を検討している人に伝えたいことはありますか。

竹内 どんな理由でも構いません。退職で悩んでいるのなら、まずは一度相談してみてください。私でなくても、弁護士なら、きっと最善の形であなたの味方になれるよう尽力するはずです。

撮影=山元茂樹/文藝春秋

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