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「グランドフィナーレ」は“テレビの葬式”だった?

 そんなありえないような“お祭り”が実現した光景を見て、「テレビの葬式」などと揶揄する者もいた。それは、一面的にいえば正しかったかもしれない。

 より正確に言うならば、あるひとつの時代の終焉を象徴するもの、すなわちそれはフジテレビが「楽しくなければテレビじゃない」と標榜して1980年代から築かれた楽しさ至上主義の“「テレビ」時代”の終わりの始まりだったといえるのではないか。

 実際その4年後の2018年には『とんねるずのみなさんのおかげでした』と『めちゃ×2イケてるッ!』(ともにフジテレビ)が相次いで終了。フジテレビ的タレントバラエティがゴールデン・プライムタイムから姿を消した。さらに今年、『いいとも!』とともに始まった『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)も40年余りの歴史を閉じ、80年代から始まったイズムが完全に終焉を迎えたようにみえる。

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 一方で、ダウンタウンによる『水曜日のダウンタウン』(TBS)が、『いいとも!』終了の翌月から始まったことが象徴的だが、ダウンタウンはなおも精力的に第一線で新しい時代を切り開き続けている。

「グランドフィナーレ」の共演をきっかけに、ダウンタウンの口からとんねるずはもちろん、爆笑問題の話題も普通に出るようになり、共演も少ないながらもするようになった。

 たとえば2021年から放送されている大型特番『FNSラフ&ミュージック』(フジテレビ)。

『FNSラフ&ミュージック』公式サイトより

「グランドフィナーレ」では直接的なやりとりはほとんどなかったが、『FNSラフ&ミュージック』では一夜目のトリとして爆笑問題が登場。太田が「太田動きま―す」「ネットが荒れる」など松本の言葉を引用しつつ、ギリギリのラインをわずかでも踏み越えようとする、ヒリヒリするやりとりがかわされたのだ。間違いなくそれは『いいとも!』「グランドフィナーレ」が生んだ“副産物”だった。

中居正広が声を詰まらせた

「グランドフィナーレ」に話を戻す。狂騒のステージの後、SMAPがタモリに向けて「ありがとう」を歌い、タモリは「私もSMAPの一員になることができました」と照れ笑いを浮かべながら目を細めた。この時、まさかSMAPが解散してしまうなんて想像だにできなかった。

「グランドフィナーレ」の最後のブロックでは、現レギュラー陣からタモリへ感謝の言葉が贈られた。

 そのスピーチで「バラエティって非常に残酷なものだなとも思います」と涙ながらに話したのは当時の『いいとも!』レギュラー陣の事実上のリーダーのひとりであるSMAPの中居正広だ。

SMAP ©文藝春秋

 ライブや映画、ドラマでは終わりはあらかじめ決められている。ゴールを目指して進むことができる。しかし、バラエティにゴールはない。「バラエティは、終わらない事を目指して、進むジャンルなんじゃないか」と中居は言う。だから「バラエティの終わりは……寂しいですね」「こんなに残念なことはないと思います」と声を詰まらせた。

 思えばアイドルグループもそういうジャンルではないかと思うとなんだかより一層、切なくなってしまう。

 香取慎吾はスピーチの最後で「これからもツラかったり苦しかったりしても、笑っててもいいかな?」と投げかけるとタモリは優しく返した。

「いいとも」