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それは担当ケースワーカーの上司にあたる係長の目の前で行われていた。

 

なぜ、書類を偽造していたことを黙認していたのか。

係長に話を聞くと…

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係長:
まだ物事が進行している段階なので。うっかり言ったことが捜査に影響出るとかあかんのです。そこを本当に分かってほしい

 

空白だらけの書類は、課長補佐などの決裁を経て、楠本容疑者に保護費は支給された。

課長補佐は書類の不備に気づいていたのか。

(Q:免許取得費の支給は役所として適切だった?)
課長補佐:
わからないですね 適切だったとも不適切だったとかもわからない

(Q:楠本容疑者だけを優遇したことは?)
課長補佐:
それはない

(Q:ほかの方が同じ書類を出しても同じような申請の流れに?)
課長補佐:
なると思いますよ

 

警察の調べに対し、「支出は正当なものだった」と容疑を否認している課長と課長補佐。

しかし、書類送検された4人のうち1人は取材に対し、苦しい胸の内を明かした。

係長:
(楠本容疑者には)振り回されました。自己中心的で人の話を聞かないですから。ただその当時はここまでのこととは思っていなかった。一人ではつらかったですよ、正直。ただ正当化するような筋合いはないです。できないことが山ほどあったし

係長は警察の調べに対し「楠本容疑者が無理にでも急いで就労することで、生活保護を打ち切り、容疑者と区役所の関係を解消できると思った。これまで容疑者の対応に手を焼いていたので、私の手から離れて対応しなくてよい環境にしたかった」と容疑を認めている。

 

背景にあるケースワーカーの実態は

なぜ職員は楠本容疑者に毅然とした対応をとれなかったのか。

5年間、ケースワーカーとして働いていた男性は「従うしかなかったのではないか」と指摘。

元ケースワーカーの男性:
先入観を排除して支援しないといけないという気持ちはあるんですけれど。(例えば)元暴力団という歴をみると身構えないというのは嘘になる。最悪の状況が重なって、組織としても担当ケースワーカーの相談を聞いてくれないとか、体制が整ってないと自分で何とかするしかないと思って、暴力的な人の対応は自分がいうこと聞いたほうが楽というか従ってしまうのはあったのではないかなと思います