「ムツゴロウさん」こと畑正憲さんが6日、87歳で亡くなった。北海道の自宅で倒れ、搬送先の病院で死去したという。
1980年に放送が始まった「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」は大人気番組となり、多くの動物番組の“元祖”となった。ムツゴロウさんが最後まで暮らした中標津のログハウスでのロングインタビューを再公開する(初出 2021年11月11日、年齢、肩書き等は当時のまま)。
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動物が登場する番組はテレビでもYouTubeでも鉄板の一大ジャンルだが、その元祖と言えば“ムツゴロウ”こと畑正憲さん(86)だろう。
ライオンの頭を無防備になで、ワニの口に笑顔で頭を入れる。ライオンに右手の中指を食べられてもまったく懲りる気配すらない。“動物愛”という枠を大きくはみ出した畑さんの生き方は日本中を魅了した。1980年に始まった「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」はあっという間に人気番組になり、平均視聴率は20%に迫った。
しかしTVシリーズは2001年に終了し、2000年代後半には北海道の中標津から東京のあきる野市に移転した「ムツゴロウ動物王国」も閉園。3億円とも言われる巨大な借金を抱えたが、それもあふれるバイタリティで完済し、現在は40年前に移り住んだ北海道の中標津にある大自然に囲まれたログハウスで生活している。
トレードマークの黒ブチ眼鏡にやさしい声の“ムツゴロウ”さんは、ゆっくり椅子に腰掛けると、煙草を一服しながら破天荒な人生について語り始めた。(全3回の1回目/#2、#3を読む)
現在は大型犬1頭と猫1匹と一緒に生活
ムツゴロウ よくこんなところまで来てくれましたね。東京からですか? 家族以外の方と話すのも久しぶりですよ。もう隠し事もありませんから、何でも聞いてください。年のせいか、すぐに忘れちゃうこともありますけどね(笑)。
――今日はお時間いただきありがとうございます。お元気そうで安心しました。
ムツゴロウ あ、僕はタバコをたくさん吸いますのでそれだけは勘弁してくださいね。フィンランドから運んだヨーロッパアカマツでこの家を作るときもね、タバコの煙が抜けるように作ったんですよ。
――素敵なログキャビンハウスですね。そして中標津も初めてきました。
ムツゴロウ もう引っ越してきて40年くらいになりますけど、広くて、川が流れていて、馬が喜んで草を食べるところがいいなと思って選びました。広さはわからんのですけど、100万坪くらいだと思います。それと来る時に、道に梨がいっぱい落ちていたでしょう? 森や川は動物の食べ物を作ってくれるんです。時々、この家にもエゾリスやモモンガが来て窓を叩きますよ。気がついたら食べ物をあげたりして、そんな付き合いをしています。
――今はどんな動物たちと生活しているんですか。
ムツゴロウ 一緒に家で暮らしているのは、大型犬のルナと猫のマヤだけです。今は年を取ってね、自分の手で飼えるだけ。1頭と1匹で精一杯です。あとはすぐ近くの(ムツ)牧場に数頭の馬がいますが、自分が生きていくだけでやっとです。