生まれたばかりの孫に110万円の財産を贈与するのはセーフ? アウト? 生前贈与をする前に知っておきたい基礎知識を紹介。経済ジャーナリストの荻原博子さんの新書『最強の相続』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

生前贈与をする前に知っておきたい「贈与税」の基礎知識をお届け ©春原弥生/文藝春秋

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1人110万円ずつ贈与する

 財産がたくさんあると相続する時に大変なので、あらかじめ、贈与というかたちで子どもなどに財産を移しておけば、相続税は軽減されます。

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 だからと言って、自分名義の貯金を子どもや孫名義にしても、税務上は贈与したとみなされて、相続税よりも高い贈与税がかかってきます(税率は金額によって違います)。

 もし、生前に財産をあげるなら、贈与税がかからない範囲のルールを覚えておいたほうがいいでしょう。

 贈与には、1人あたり年間110万円の基礎控除があります。つまり、この範囲なら、子や孫、さらに兄弟姉妹、甥姪にお金をあげても贈与税はかかりません。

 こう書くと、「だとしたら、可愛い孫が生まれたので、この子のために、今から毎年110万円ずつあげよう」と思う方もおられるかもしれません。

「もらったことを自覚できない場合」は贈与も成立しない ©春原弥生/文藝春秋

贈与税がかからないようにするために

 けれど、贈与する時には、あげる側の意思と、もらう側の「贈与してもらった」という認識が合致していなければなりません。生まれたばかりの孫が、「贈与してくれてありがとう」などと言うはずはないので、この場合は無税にはならない可能性があります。まずは、相手が「もらう」という意思を示せるかどうか確認しましょう。