ーーお姉さんは、ストイックにバイオリンを続けていたのでしょうか。
さくら バイオリン一筋ではなかったです。お茶やお花とか、姉のほうがいろいろ習い事をしていました。どっちかというと、花嫁修業的な感じで習っていましたね。
お茶とかお花って優雅じゃないですか。それもあって姉がお茶会に行くときは必ずついていって、お菓子だけを食べていました(笑)。
演歌の伴奏に魅了され、バイオリンから演歌へ
ーー姉妹でバイオリンはお金がかかりそうですけど、裕福な家庭だったのですか。
さくら そうでもないんですけれども、やっぱり子供のためにいろいろと節約しながら頑張ってくれる家庭ではありましたね。だから、せっかくお金をかけているんだからバイオリニストを目指してほしいなという気持ちはあったようです。完全に裏切っちゃいましたけどね(笑)。
ーーバイオリンから演歌へのシフトはどういったきっかけが?
さくら ずっとクラシックをやっていたので、演歌の伴奏を耳にして衝撃を受けたのかもしれないです。クラシックと演歌って、まったく違うものですから。
小学校にあがる1、2週間前に、なにかのパーティーに連れていってもらったんですよ。アマチュアの方だったと思うんですけど、そこで演歌を歌っている方がいて、歌よりも伴奏に魅せられたのを憶えています。それと子供心に、おひねりをもらっているのを見て「いいな~」とうらやましくなって演歌を始めたところもありますね。
それからすぐに「演歌を歌いたい、習いたい」と両親に言ったら、演歌を教えてくれる先生を探してくれて教室に通うことになりました。
人のことを褒めない祖父が「歌はうまいね」と
ーー通ったのは、“歌のレッスン”的な教室ですか。カラオケがうまくなりたい方が教わるような。
さくら そうだったと思いますね。私以外に幼い年齢の子はいなくて。だから、先生にもほかの生徒さんにも可愛がられましたよ。
先生はキティちゃんのお人形を持って「こぶしっていうのはね」「ヴィブラートっていうのはね」なんて教えてくれて。ほんと試行錯誤しながら指導してくださっていましたね。とにかく優しくて、わかりやすく教えてくれた先生でした。
ーーそこから演歌だけに打ち込んで、めきめきと上達していったと。
さくら ほかのお稽古も続けていたので、単純にやることが増えたという程度ではありましたね。上達に関しては自分ではピンときていませんでしたけど、いろんな大会に出るようにもなって、あんまり人のことを褒めない祖父が「歌はうまいね」と言ってくれたのは憶えています。