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「私さえ我慢すれば」を忘れる

 <「私さえ我慢すれば」なんて、 悲劇のヒロインの妄想です。 一方的な我慢をやめることは、自分のためであり、周りの人のためでもあります。>

 もしも、今、ご自分を取り巻く環境の中で、「私さえ我慢すればなんとかなる」と思っているのだとしたら、一度ご自分にこう尋ねてみてください。

「私が我慢することで、本当にうまくいっているのだろうか」

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「私が我慢するのをやめたら、困る人がいるのだろうか」

 実は、一方的な我慢というのは、自分に我慢させている(と自分が思っている)相手には伝わっていないことが多々あります。

撮影 秋月 雅

 以前、PMDD(月経前不快気分障害)でいらした患者さんが、「苦しくて仕方がないけれど、夫も、子どもも、周囲も、誰もこのつらさをわかってくれないからひとりで我慢するしかない」とおっしゃいました。そこで、夫氏と一緒に受診してもらい、医師としての視点から、奥様の状態はただの気分の乱れではなく、自分の力でコントロールできるものではないこと、サポートが必要であることなどを伝えました。

「そうだったんですね」と旦那さんはいくぶんほっとした顔をされました。

 実は、「自分が我慢していればなんとかなる」と思っていたのは妻だけで、夫は夫で、理由もわからず妻が不安定になったり、沈んだりすることを心配していたのです。

 そして、夫は妻の状態を医学的な説明によって知ることができ、どうサポートしていけばいいのか、大変前向きになられました。

 自分ひとりでしなくてもいい我慢はやめることです。周囲に助けを求めると、自分だけでなく周りも救われることのほうが多いのです。