挫折がバカにされない
アメリカのハイスクールは、だいたい日本でいう中3から高3の四年制で、授業は学年に関係なく個人のレベルで履修する仕組みだ。
必修科目は英語、数学、理科、社会、第二外国語の五教科だった。一教科ごとにそれぞれの段階があり、そこから選べる。その時、自分の学年は高2だったけど、英語の授業はアメリカでの中3レベルを受けた。でも数学は得意だったので、自分のレベルに合わせて高3と同じ授業をとった。それで、学校の成績が良いほど大学の選択肢が増え、希望する大学に申し込むシステムとなっている。自分ももっと英語の点数が数学並に良ければ、ハーバードやMITに入れたのかもしれない、なんていうことを想像したことがある。もちろんそのあとに待ちかまえている卒業が大変なんだろうけど。
そしてそれに加えて、大学に入った後でも、編入とか専攻の科目を自由に変えることができる。たとえば、ハーバードの法科に入っても、授業についていけなかったら別の大学の同じ専攻に変える、とか。そこで無事卒業ができれば全然OKで、ハーバードを挫折した奴だとかバカにされることはそれほどない。自分に適したレベルのところに行ったんだねっていうだけで。
こういうふうに自分で自分の道を決める訓練を子どもの頃からずっと続けているんだから何に関しても自分の頭で考えて決めるのが、当然といえば当然なのだ。
このカリキュラムをアメリカの若者たちが普通にできるんだから、日本の学校教育の現場でできないことはない。親や教師も、最初はいささか混乱するかもしれないが、慣れれば大丈夫だろう。担任という役職がなくなる分、結果的に教師たちの負担は大幅に減るし、カウンセリングはカウンセラー、教科は専門の教師とそれぞれが分担し、担当した者が子どもたちの望みと可能性に向き合えば良い。