「子どもを持つべき」と考える女性が急激に低下
結婚しても子どもを持たない人が増えている。
〈「結婚後 子どももつべきだ」6年で激減〉というインパクトの強い記事が朝日新聞に載った(2022年9月13日)。国立社会保障・人口問題研究所が発表した出生動向基本調査の結果、独身者(18~34歳)のうち、「結婚したら子どもはもつべきだ」と考える女性は36.6%、男性は55.0%。6年前の調査と比べると、「子どもをもつべき」と考える女性の割合は半減、男性も下がったという。
そもそも結婚を望まない人も増えていて、男性は17.3%、女性は14.6%が「一生結婚するつもりはない」と答えている。
記事内では、少子化問題に詳しい専門家が「ショッキングな結果だ。結婚して子どもを持つ意欲が特に女性で大幅に低下した。一生結婚しないと考える人の割合も、女性の方が増加幅が大きい」と指摘している。そしてその背景として、「女性に偏りがちな家事・育児負担や、男性より低い傾向にある賃金といったジェンダーギャップへの失望や反発があるのではないか」と分析している。
若者の意識や価値観は急速に変化している
もう一つ、注目すべきデータがある。
2023年卒の大学生・大学院生を対象にした「大学生のライフスタイル調査」によると、女子学生の14.5%、男子学生の7.5%が、「今のところあまり子供は欲しくない」と答えている。この数字は、調査開始以来、最も高いのだという(「株式会社マイナビ」)。結婚後の働き方についての質問もあり、「夫婦共働き」を希望する割合は男子学生の59.9%、女子学生の74.5%と、半分以上が共働きを希望している。
こうした調査結果から、若者の意識や価値観が急速に変化していることがわかる。
しかし、さまざまな社会制度が変わっていないし、現実に追いついていない。このギャップが、結婚しない人、子どもを持たない人を増やしていると考えられる。
もちろん、結婚するかどうか、子どもを持つかどうかは、個人の選択でもある。制度とは関係なく、個人の選択として考える必要もあるだろう。
子どもを持たないと最初から決めているのであれば、結婚しなくてよいと考える人は増えていくと思う。パートナーがいても付き合っていればよいのであって、自立した男女がわざわざ「結婚」する必要があるだろうか。(#2へ続く)