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37歳のときに読んだ本がきっかけで自身の「アダルトチルドレン」を自覚

――与えられた「役」を演じてしまうということですね。

 子どもの頃、先生から通知表に「特定の友達と遊びがち」と書かれたんです。それで母から「いろんな人と遊びなさい」と言われて、なるほどと思って。だからいろんな人と遊ぶようにしていたら、次の学期の通知表に今度は「八方美人の気がある」と書かれたんです。小学生ながらに「えーっ」と思って。

 そこで「結局、何やっても評価したがるんだな」と気が付いたんです。無邪気でいると「子どもらしくて良い」と言われるし、ちょっと大人びたことを言うと「可愛げがない」と言われる。だから、その瞬間から先生を信じないことにしました。高校の時なんか、先生に対して「私と年齢ちょっとしか変わんないじゃん」と思っていました(笑)。

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――東さんはご自身が「アダルトチルドレン」だと公表されていますが、それはいつ頃から感じるようになったんですか。

 37歳のときですね。著者が自身のACについて綴った『眠れぬ夜の壁』(佳里富美著、さんが出版)という本を読んで「これ、私だ」と思って。それでACのことを調べるうち、本当にいろんな人たちがカミングアウトしていて。「私だけじゃないんだ」と安堵しました。

――ご自身のどういうところが、ACだと思われたきっかけになったのでしょう。

 私の場合、親子関係でも恋愛関係でもいつも自分を後回しにして、自分を一番に優先できないところがあって。「自分が我慢すればその場がスムーズに進む」というような。自己評価が低かったり、自己愛や自己肯定感が低いんですね。自己評価と世間の評価の大きな相違であったり、自分の人生を俯瞰して見ているようなところがあったり。

 

ACになる人は色々なケースがある

――ACになる人は、両親や養育者の方との間に、愛着形成の段階で何かしらの問題があった場合が多いそうですが、東さんの場合、お母様による幼少期の過度な期待が影響しているとお考えでしょうか。

 すごく複合的な理由があると思うんです。私が思春期の頃って、高度経済成長期で学歴社会にどんどん入っていったということ、そして母が、良妻賢母を目指すように養育された女性だったということ。