父も大家族の長男に生まれて、過剰に責任感が強くてアルコール依存症になったとか、生まれ育ったところが島で、みんなに監視されている環境だったとか、社会の環境なんかも影響していると思うし。
ACになる人は色々なケースがあるけれど、私の場合は外から見てわかりにくいと思います。家庭円満風に見えるし、DVがあったわけでもないし。実際、ACの人で私のように中流家庭に育っているケースも多いんじゃないかな。
――ご自身がACだとわかった時はどんな心境でしたか。
東 めっちゃほっとしました。私以外にもそういう人がいるという事実と、自分が悩まされてきたこの症状に名前があるということに。ひとりになった途端に涙が出てきたりすることもあって、「私、おかしいのかな」「自分だけなのかな」と思っていたから。
母と2人でカウンセリングを受けることに
――東さんは、お母様と2人でカウンセリングを受けられたのだとか。
東 最初は「今更、母にどうこう言わなくていいな。彼女は彼女で元気に生きてるからそれでいい」と思っていたんです。ただ、私の妹に子どもが2人できたのをきっかけに、母がおばあちゃんとして孫に一生懸命になりはじめたんですね。
それで「1番になることが良いこと」「頑張りなさい、良い子でいなさい」「愛されることが良いことなのよ」みたいなことを教えるのを見て。
「1番になりなさい」と孫に教える母の姿を見て、危機感を覚える
――危機感を覚えたと言いますか。
東 ゲームで遊んでいても子どもたちは、自分が負けそうになったり気に食わなかったらリセットボタンを押そうとするんです。そのときに「負けてもいいんだよ、誰かが勝ったら誰かが負けるんだから。次があるんだから」と私が教えるんですけど、私の母は「1番になりなさい」と言うわけです。「このままだとこの子たちが混乱するな」と思って。
そこで「私たちはこうやって育てられたんだな」と客観的に見たときに「なんとかしなければ」と強く思って、母とカウンセリングを受けようと思ったんです。(続きを読む)
撮影=三宅史郎/文藝春秋
INFORMATION
東ちづるさんが、現代風にアレンジしたメジャーな妖怪からオリジナルの妖怪まで61体を自ら描き、社会風刺を交えながら解説した書籍「妖怪魔混大百科(ようかいまぜまぜだいひゃっか)」(ゴマブックス)を7月24日に出版。
詳細はこちらから→http://www.goma-books.com/archives/64029
◆出版を記念して原画展も開催中!
『妖怪魔混大百科』原画展 with Get in touch
日程:2023年9月8日(金)~9月24日(日)
時間:11:00~19:00
場所:日比谷OKUROJI
入場:無料