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母親との確執、女性たちとの旺盛な恋愛…『キャロル』『太陽がいっぱい』を書いた作家の“謎に包まれた生涯” 「パトリシア・ハイスミスに恋して」を採点!

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〈解説〉

 欧米ではアガサ・クリスティーと並ぶ人気を誇り、トルーマン・カポーティに才能を認められた小説家、パトリシア・ハイスミス。主にミステリー、サスペンスを執筆し、『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』『アメリカの友人』『キャロル』など多くの作品が映画化されているが、その素顔は謎に包まれていた。

 監督・脚本のエヴァ・ヴィティヤは、彼女の生誕100周年にあたる2021年に発表された秘密の日記やノートを軸に本作を構成。本人映像、恋人や友人、親戚へのインタビュー、映画化作品の映像を織り交ぜて、母親との確執、女性たちとの旺盛な恋愛、晩年の孤独などを描き、知られざる実像に迫ったドキュメンタリー。ナレーションは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のグウェンドリン・クリスティー。88分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆その名は知っていたものの、実像は知らなかった。自伝的小説で映画化された『キャロル』の一場面が鮮やかに思い出された。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆アプローチの仕方にややもどかしさが残るが、ハイスミスの複雑な体質と陰翳の豊かな顔で引っ張る。見飽きない人だ。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆母親の写真に怖気が。愛する者への率直さと独りでいる必要と、常にどちらも手に入る苦しみを88分で描くのは短すぎ。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆時代に抑圧された作家というクィア史の視座からハイスミスを照射。興味深い内容だけにもっとボリュームが欲しくなる。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆写真とアーカイブ映像の輝き、フィクションとドキュメントの境界も曖昧にさせ、ハイスミスの美学に達す。猫と音楽に星。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
©2022 Ensemble Film / Lichtblick Film
©Courtesy Family Archives

INFORMATION

パトリシア・ハイスミスに恋して(スイス、独)
11月3日(金・祝)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
https://mimosafilms.com/highsmith/

母親との確執、女性たちとの旺盛な恋愛…『キャロル』『太陽がいっぱい』を書いた作家の“謎に包まれた生涯” 「パトリシア・ハイスミスに恋して」を採点!

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