文春オンライン

「すぐに、パソコンに向かって仕事をするな」「主観は捨てろ」ジブリ鈴木敏夫プロデューサーから学んだ「人に伝わる文章」を書くための4つの極意

『新装版 自分を捨てる仕事術』より #2

2023/12/13
note

「たとえば『夢と冒険の物語』と書かれたらどうだろう。これでは、どんな映画にも当てはまり、読んだ人の頭のなかで、ひとくくりにされてしまう。では、『バズーとシータは、天空に浮かぶ城・ラピュタへ向かった』としたらどうか。こうした固有な情景描写だけで、結果、『夢と冒険の物語』だということは伝わるんだよ」

 抽象的な表現を廃し、固有の表現や言葉を積み重ねるだけで、読む人、聞く人のなかに想像をふくらませることができるということを、叩き込まれました。

その2:伝えたいこと=テーマを決める

 まず、文章を書くには、伝えたいこと=テーマを明確にする必要があります。

ADVERTISEMENT

「何を言いたいのか」

 テーマを明らかにするのです。ただ、このテーマの獲得と明確化が難しい。鈴木さんは、テーマの獲得の方法も教えてくれました。

「まず、紙に、自分がいま、漠然とでもいいから、考えていること、言いたいことを箇条書きに書き出す。書き出したら、いったん頭を冷やして、並べた要素を客観的に見直してみる。そのなかで、これとこれはひとくくりにできる、というものをまとめる。いちばん多かったものが、いま自分の言いたいこと=テーマであり、それに付随する小さなカテゴリーが、テーマを伝えるために必要な諸要素なんだ。それ以外のものは、はずす」

 

整理してから、起承転結を並べる。(写真はイメージ) ©getty

「整理したあと、それらを『起承転結』に並べて書く」

その3:起承転結を意識せよ

「素材を起承転結の箱に分ける。その前に『枕』があるとなおよし」

枕」によって、読者の興味を喚起し、

「起」によって、伝えたいテーマの根幹を書き、

「承」においてさらにそれを深め、

「転」において一見関係のない別の話題にふり、

「結」においてそのすべてが結びつく。

 そんな文章を目指せ、と言われました。