「たとえば『夢と冒険の物語』と書かれたらどうだろう。これでは、どんな映画にも当てはまり、読んだ人の頭のなかで、ひとくくりにされてしまう。では、『バズーとシータは、天空に浮かぶ城・ラピュタへ向かった』としたらどうか。こうした固有な情景描写だけで、結果、『夢と冒険の物語』だということは伝わるんだよ」
抽象的な表現を廃し、固有の表現や言葉を積み重ねるだけで、読む人、聞く人のなかに想像をふくらませることができるということを、叩き込まれました。
その2:伝えたいこと=テーマを決める
まず、文章を書くには、伝えたいこと=テーマを明確にする必要があります。
「何を言いたいのか」
テーマを明らかにするのです。ただ、このテーマの獲得と明確化が難しい。鈴木さんは、テーマの獲得の方法も教えてくれました。
「まず、紙に、自分がいま、漠然とでもいいから、考えていること、言いたいことを箇条書きに書き出す。書き出したら、いったん頭を冷やして、並べた要素を客観的に見直してみる。そのなかで、これとこれはひとくくりにできる、というものをまとめる。いちばん多かったものが、いま自分の言いたいこと=テーマであり、それに付随する小さなカテゴリーが、テーマを伝えるために必要な諸要素なんだ。それ以外のものは、はずす」
「整理したあと、それらを『起承転結』に並べて書く」
その3:起承転結を意識せよ
「素材を起承転結の箱に分ける。その前に『枕』があるとなおよし」
「枕」によって、読者の興味を喚起し、
「起」によって、伝えたいテーマの根幹を書き、
「承」においてさらにそれを深め、
「転」において一見関係のない別の話題にふり、
「結」においてそのすべてが結びつく。
そんな文章を目指せ、と言われました。