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雑誌『ムー』編集長も驚いた“超常現象への入り口”「UFO調査の動きが世界で活発化している」緊急座談会

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にわかに、超常現象ブームが巻き起こっている。UFOの目撃が相次ぎ、各国が公に調査を開始。UMA(未確認動物)、心霊現象の目撃情報も絶えない。
そこで月刊『文藝春秋』では、緊急座談会を開催。集まっていただいたのは、雑誌『ムー』編集長の三上丈晴氏(55)、山で暮らす人々が遭遇した奇妙な体験談を綴った『山怪(さんかい)』(山と溪谷社)の著者でカメラマンの田中康弘氏(64)、都市伝説や怪談好きで知られる作家の綿矢りさ氏(39)、民俗学への興味からこの道にハマったというノンフィクション作家の石井妙子氏(54)の4人。一体、どんな不思議な話が飛び出すのだろうか――。

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UFO出現に戦闘機2機が緊急発進

 石井 昨年11月、インドのインパール国際空港の上空でUFO(未確認飛行物体)が目撃されました。付近の上空にしばらくとどまって、1時間半ほどで姿を消した。この座談会のためにわざわざ宇宙から来てくれたのかと思いましたよ(笑)。

 綿矢 地元テレビが、球状に見える物体が白い光を放ちながら上空を移動する様子を映していましたね。日本のワイドショーでも、かなり取り上げられていました。

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 三上 現地では戦闘機2機が、緊急発進しているんですよ。空港は発着を停止、乗客約500人に影響が出たほどでした。

三上氏 ©文藝春秋

 福島市飯野町にある「国際UFO研究所」の所長を務めさせて頂いているのですが、最近、UFO調査の動きが世界各国で活発化しているのは間違いないと断言できます。

 石井 アメリカの動きが象徴的です。UFOと疑われる目撃情報が数多く寄せられ、NASA(アメリカ航空宇宙局)は2022年に調査を開始。昨年9月、UFO調査の責任者を任命すると発表しています。

 綿矢 お隣のメキシコでは議会でUFOに関する公聴会も開かれていますね。ただ、宇宙人のミイラ化した遺体とされるものが公開されていましたが、X線写真を見ると、お腹に卵があったとか。「宇宙人は鳥類なのかな?」と。

 石井 私自身はUFOを見たことは無いのですが、周囲に「見た」という人はいます。綿矢さんは?

 綿矢 残念ながら無いです。「何か動いてる!」と思ったら、人工衛星だった……ということばかりで。

 田中 実は私、UFOを時々見るんです。

 綿矢 え!

 田中 はっきり見えたのは約20年前、オーストラリアのパースに行った時のこと。午前中に海辺で写真を撮り、町に戻ってきてふと空を見上げると、上空を横切る白い物体が見えた。人工衛星かと思ったけれど、真上に来た時に止まり、不規則な動きをし出したんです。そして上昇していき、最後は見えなくなった。

 長崎県佐世保市でも1回見ました。弓張岳の上空に光の点が1つ見えたので、最初はジェット機かと思ったんです。でもそれが2つに分かれて、次は4つに分かれた。何だったのかは結局分からないのですが。

 三上 『ムー』は幾度となく取り上げてきたので「ようやく」という感じなのですが、石井さんがおっしゃったようにアメリカは国の動きが早い。20年に国防総省がUFOの動画を公開。CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)、DIA(国防情報局)など情報機関を統括している国家情報長官室も、21年に報告書を公表しています。

米国防総省が公開したUFO ©時事通信社

 石井 日本はどうでしょうか。

 三上 防衛省は航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」へ改称すると発表しています。日本維新の会の浅川義治衆院議員はUFOに関する情報公開をするべきだと語っている。超党派の議員グループもいずれ作り、予算もつくのでは、とも言われている。やっと世の中が『ムー』に追いついてきたということでしょう。

ガリレオ教授もムー民だった

 石井 三上さんは昔から『ムー』を愛読されていたんですか?

 三上 『ムー』は1979年創刊ですが、中1から読んでいて、読者投稿欄の常連でした。70年代は『木曜スペシャル』(日テレ)がユリ・ゲラーを取り上げて話題になり、学校に行けば誰かが心霊写真を持ってきている時代。同学年の福山雅治さんも『ムー』愛読者、通称「ムー民」なんです。私は彼から「教授」と呼ばれています。

 石井 ガリレオ教授から(笑)。

 三上 一応、筑波大学では素粒子理論物理学専攻とバリバリの理系人間ですから(笑)。卒業後に学研に入社、半年後に『ムー』編集部に配属されました。

 綿矢 私が手に取ったのは大人になってから。幼い頃は口裂け女、人面犬、トイレの花子さんなど、学校の怪談話が好きでした。プラズマで火の玉を作った大槻義彦教授が『ビートたけしのTVタックル』(テレ朝)で、他の出演者たちと言い争っていたのも印象に残っています。

 三上 大槻教授は東大大学院出身ですが、学部は旧東京教育大学で、系統では筑波大学の大先輩なんです。

 石井 栃木県に座敷童子が出ることで有名な温泉宿があります。宿の方に聞いたのですが、大槻教授が泊りに来た際、「怖い、寝られない!」と大騒ぎしていたらしいです。

 三上 もともと火の玉を見た経験から、プラズマ研究を始めた方ですから。教授もムー民なんですよ。

 綿矢 知り合いの作家には、実は超常現象が好きな方が多いです。辛酸なめ子さんの著作にもスピリチュアル関連のものがありますが、彼女も『ムー』執筆陣の1人ですね。

 田中 皆さんのお話を伺って、ジェネレーションギャップを感じます。私のスタート地点は漫画雑誌でした。当時、『マガジン』や『サンデー』の冒頭カラーページは、世界の七不思議や怪奇現象などをよく特集していたんです。

 石井 私はてっきり、田中さんは民俗学の観点からご興味をお持ちになったのだと思っていました。

 田中 違うんです。当時、怪談話は子どもの娯楽の王道でした。夏には大映が『四谷怪談』に代表される怪談映画、妖怪映画を上映していました。ヒットしてからは2本立てで。そんな時代、知らないでしょ?

 三上 初耳です。世代ごとに超常現象への入り口が、こんなにも違うものなのですね。