昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

脂肪を避けるのはもう古い 本当に太らない食事とは?

医療の常識を疑え #1――食の新常識

2018/04/29

コレステロールを避けるのはもう古い

 ただし、高脂肪・高たんぱくの食材には、鶏卵、魚卵、レバー類、豚肉、牛肉などコレステロールが豊富に含まれているものが多い。動脈硬化を促進するとされているので、マヨネーズや食用油なども、できるだけコレステロールの少ないものを選ぶ人が多いだろう。

 しかし、コレステロールはできるだけ避けるべきという考え方はもう古い。『座りっぱなしでも病気にならない1日3分の習慣』などの著書がある池谷医院院長の池谷敏郎医師が解説する。

食事でコレステロールの摂取量を減らしても血中のコレステロール値が下がる証拠はないことがわかり、米国のガイドラインではコレステロールの摂取制限が撤廃されました。これを受けて日本でも日本動脈硬化学会が2015年に、健常者については摂取制限を設けないことに賛同する声明を出しています」

 高齢者ではコレステロールを気にするあまり、かえって脂肪やたんぱく質不足になり、過度にやせて筋肉量が落ちる人がいる。しかし、それではかえって健康を害するので、卵や肉類はしっかり摂ったほうがいい。

 ただし、どんな場合でも、卵をいくつでも食べていいということにはならないと池谷医師は釘を刺す。

 

「多くの人のコレステロール値は食事では上がりませんが、3割ぐらいの人は卵などを食べるとコレステロールが上がります。血液検査で脂質異常症と指摘された人や、血中コレステロール値が食べ物の影響を受けやすいことがわかった人は、やはりコレステロールの多い食材は控えるべきです

 また、動物性脂肪やたんぱく質ばかりを摂ると、野菜が不足して栄養が偏ることになり、それも動脈硬化や高血圧、糖尿病などを促進する一因になりうる。糖分は控えめにしつつ、脂肪、たんぱく質、野菜をバランスよく食べることが大切だと池谷医師は言う。

 とはいえ、野菜を大量に摂る必要はない。ビタミンや食物繊維が豊富な野菜や果物はがん予防になると考えられてきたが、大量に摂るほど予防効果が上がるわけではないことも分かってきたからだ。ビタミンやミネラルが足りないとがん以外の病気にもなりやすいので野菜や果物を食べることは大切だが、不足しない程度に食べていれば、がん予防には十分だ。

コーヒーを飲むのに一番いい時間は……?

 

 こうした食べ物以外に、より健康に気を使いたい人には、コーヒーがおすすめだ。日本の大規模な住民研究(多目的コホート研究)で、コーヒーをよく飲む人ほど、糖尿病の発症率が低いという結果が出ている。さらに、肝がんや子宮体がんなども予防できる可能性があることが示されている。コーヒーが苦手な人は無理に飲む必要はないが、好きな人は病気予防も意識して飲むといいだろう。

 ただし、この研究によると、1日3〜4杯の人がもっとも死亡リスクが低いという結果だった。また、朝一番に目覚めのコーヒーを飲む人が多いが、前出の安中氏によると、コーヒーを飲む時間も意識したほうがいいという。

「朝になると目を覚ますためにコルチゾールというホルモンが放出されるのですが、その量は朝の8時から9時ごろにピークになります。そのときにカフェインを摂取すると、実はコルチゾールの分泌が阻害されてしまい、カフェインが効きにくくなるのではないかと考えられています。なので、コーヒーを飲むなら、コルチゾールの分泌が落ちるお昼前をおすすめします」

 朝、一仕事片付けてから、優雅にコーヒーを飲むのがベストかもしれない。

(初出『週刊文春』2017年1月5・12日号)