しかし他の研究では、女性や子供だけでなく男性とも関わろうとすることがわかっています。研究では、色々な人に座って本を読んでもらい、猫が誰の元に行くかを観察しました。女性の場合は子供でも、猫に近づく時には同じ高さになるように床にしゃがむ傾向が見られましたが、男性はソファやアームチェアに座ったまま猫の相手をするか、自分の膝へと持ち上げました。
「猫はそれを嫌がる場合もあります。あとは子供――特に男の子は駆け寄ることがありますが、猫はそれが苦手です。アニマルセラピーの講義では必ず、『子供も走って近づいてはいけない、静かに座って本を読みながら待つように』と教えています。そうすれば猫のほうから近づいて来ますよ」
幸運をもたらす世界の猫
猫の魅力は、スピリチュアルな面でも多くの文化に見られます。すでに飼い猫がいた古代エジプトでは、猫は神聖で、幸福と幸運をもたらす存在。家族が死んだら一緒にお墓に入ったのです。
中東や東アジアでも敬意を集める存在でした。イスラム教では特別な地位を与えられ、清い動物として崇められています。猫のそばにいるのは信者の証。預言者ムハンマドにもムエザという名の白黒のアビシニアンがいました。ムハンマドは猫が必ず4本肢で着地するところが気に入っていたそうです。
日本の招き猫は江戸時代に登場したと考えられ、各地に伝説があります。ここで2つ紹介しましょう。
あるお金持ちが急に暴風雨に見舞われ、お寺の木の下に避難したところ、手招きしているように見える猫がいました。その猫を追ってお堂の中に入ると、さっきまで立っていた木を雷が直撃。命を救ってくれた猫に感謝して、男はお寺に寄付をしました。
もう1つの伝説は残酷です。ある芸者がこよなく愛していた飼い猫が着物を嚙み始めたので、店の主人は邪悪なものに取り憑かれていると思いこみ、首を切り落としてしまいます。すると飛んでいった猫の頭が、芸者に襲いかかろうとしていた蛇の上に落ちました。芸者は命を救われたものの、最愛の猫を失って嘆き悲しみました。客の1人が彼女を慰めるために猫の像を建てさせたということです。