「人は1日に2万回、まばたきをしている」と先述しましたが、実は、現代人はまばたきの回数が減っています。すると、目は涙が不十分になって乾いてしまい、それによってさまざまな目のトラブルが生じてしまいます。
まばたきの回数が減っている主な原因は、「ストレス」と「スクリーン(デジタル画面)の凝視」。この2つといえるでしょう。
忙しく仕事に追われていたり、人間関係で頭を悩まされたりなど、ストレスがかかって緊張していると、自律神経のうちの交感神経が優位になります。
交感神経が優位になると目が開き、まばたきの回数が不十分になります。さらに、涙の分泌量も減ってしまいます。
また、パソコンやスマホなどの画面を凝視するなど、集中してものを見ていると、おのずとまばたきが減ります。
オフィスで長時間パソコンと向き合っていたり、スマホのゲームに夢中になったりしていると、目がパシパシと乾く感覚を覚えることがありませんか。それが「ドライアイ」です。では、ドライアイについて詳しく説明しましょう。
ドライアイは現代病でもある
私は2015年から毎年、計1万2000人以上の患者さんの目の乾き具合を記録しています。
その結果、コロナ禍以降、涙の量は平均13%減少、目の保湿機能は平均23%低下していることがわかりました。
主な要因は、在宅勤務によるパソコン作業の増加や、スマホ時間の増加、環境の変化によるストレスだと考えられます。
さらに、マスク着用でも目が乾きやすくなっています。マスクの隙間から、息が“直接の風”となって目に当たるからです。
まばたきの回数が減り、涙が少ない状態が続くと目の表面がどんどん乾燥し、ドライアイになります。それによって涙の3つの層の状態が不安定になり、視力の低下も引き起こす。これが現代病ともいえる、ドライアイの正体です。
現代人の目は、乾きやすい状態にあるので、「意識的に目にうるおいを取り戻す=まばたきをする」必要があるのです。