東京五輪・パラリンピックの大会スポンサー契約を巡り、5つの企業から約2億円の賄賂を受け取ったとして受託収賄罪で起訴されている組織委員会元理事・高橋治之被告(80)。

 5月16日の第8回公判で、組織委員会元会長・森喜朗氏(87)の供述調書の一部が証拠請求から外されたことが、「週刊文春」誌上で「バブル兄弟 高橋治之と高橋治則 五輪を喰った兄と長銀を潰した弟」を連載しているノンフィクションライター・西﨑伸彦氏の取材でわかった。森氏の供述調書は、五輪汚職事件の他の公判では有罪判決の根拠にもなっていただけに、治之氏の裁判にも少なからず影響を与えそうだ。

東京地裁に入る高橋治之氏 ©時事通信社

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15人が起訴され、11人が執行猶予付きの有罪判決

 一連の五輪汚職事件では、治之氏ら計15人が起訴され、このうち紳士服大手「AOKIホールディングス」元会長の青木拡憲氏や、広告大手「ADKホールディングス」元社長の植野伸一氏ら11人は執行猶予付きの有罪判決が確定している。

無罪主張を続けている ©時事通信社

 西﨑氏は、昨年12月14日に始まった治之氏の公判をすべて傍聴してきた。公判で検察側は森氏の供述調書などから、治之氏はスポンサー集めを担うマーケティング担当理事だったとして、収賄罪の構成要件である「職務権限」があったと主張。企業側から受け取った金銭はその見返りであると指摘してきた。これに対し、治之氏は自身が受け取った金銭について、あくまで「ビジネスの対価であり、賄賂ではない」として無罪を主張。「森氏から担当理事に指名された事実は一切ない」とし、森氏の証人尋問を要求してきた。