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3カ月後、定期検査の日…数値は激変し主治医は泣いていた

こんな生活を3カ月続け、定期検査の日が来た。あの主治医を見返す日が来たのだ。朝飯は抜いて血糖値が上がらないようにした。朝から鶯谷にあるサウナにも行った。汗を流してから病院を受診するのだ。やる気満々だ。

病院に行き血液と尿を提出した。待合室は満席である。自動血圧計で血圧を測る。血圧は上が138mmHg、下は95mmHgである。正常値だ。その日は特に人が多く、予約の時間が来ても順番が来ない。でもイライラしない。病院で待つことは慣れっこだ。文庫本を読んで順番を待つ。私の順番が来た。いよいよ決戦の時が来たのだ。

ドアを開けてイスに座る主治医を見ると、データを食い入るように見ている。私はイスに座った。主治医は視線をパソコンから私に向けた。主治医の目がうるんでいる。うんうんとうなずきながら「がんばりましたね! すべて正常値です。何をしたんですか?」と尋ねてきた。

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私は食事を改め運動を始めたことを伝えた。こんな短期間でこんなにも血糖値が下がるのは、非常に珍しいらしい。うるうるしている先生を見て、私もうるうるしながら「先生のおかげです!」とお礼を言った。

塚本 やすし(つかもと・やすし)
絵本作家
東京都出身。『しんでくれた』(谷川俊太郎・詩/佼成出版社)で第25回けんぶち絵本の里大賞のびばからす賞、『やきざかなののろい』(ポプラ社)で第6回リブロ絵本大賞・第9回ようちえん絵本大賞。『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』(自由と平和のための京大有志の会・文/朝日新聞出版)で第7回ようちえん絵本大賞など数多くの賞を受賞。日本全国の図書館やイベント会場、書店などで読み聞かせやライブペインティングを行っている。主な著書に『おにのパンや』『とんかつのぼうけん』『このすしなあに』『とうめいにんげんのしょくじ』(以上ポプラ社)など多数。