「中国はひどくて邪悪だが日本はもっとひどい! 日本は邪悪だ!」

 声高に日本を罵倒したのは、アメリカの鉄鋼大手「クリーブランド・クリフス」(以下、クリフス)のローレンソ・ゴンカルベスCEO。敵意剥き出しのこの御仁、いったい何者!?

暴言王ゴンカルベス氏(クリフスHPより)

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「我々はアメリカだ!」と吠えまくる、ゴンカルベス氏

 2023年12月に発表された日本製鉄の「USスチール」(以下、USS)買収計画について、バイデン米大統領(当時)が禁止命令を出したのは、今年1月3日。日本製鉄は禁止命令の無効を求め、6日にバイデン大統領らの提訴に踏み切り、買収阻止に動いたゴンカルベス氏らも提訴した。

「USS買収で日本製鉄に競り負けたクリフスのゴンカルベス氏は全米鉄鋼労働組合の会長と組み、労組を票田とするバイデン大統領に政治介入をはたらきかけたのです」(経済部記者)

支持団体に屈したバイデン前大統領

 1月7日、日本製鉄の橋本英二会長兼CEO(69)が記者会見に臨み、徹底抗戦の姿勢を鮮明にすると、ゴンカルベス氏は13日、冒頭のように吠えまくった。

「我々はアメリカだ! 日本よ、気づけ! お前たちは自分が何者なのかを分かっていない!(日本が敗戦した)1945年から何も学んでいない!」

祖国で、九死に一生を得る

 背後の星条旗を掴んで暴言のボルテージを上げたゴンカルベス氏だが、出身はブラジル。米地方紙「メサビ・トリビューン」に掲載された過去のインタビュー記事によれば、1958年、リオデジャネイロの貧しい家庭に生まれた同氏は、奨学金を受けながら大学に通ったという。母国の製鉄会社に就職すると、野心を滾らせ、頭角を現していく。

 運命を左右する出来事が起きたのは1996年10月。乗りそびれたブラジルの航空機が墜落し、結果として九死に一生を得たのだ。

 その1年3カ月後、政治や企業の腐敗を感じていたゴンカルベス氏は、故国を見捨て、妻子とともに渡米。鉄鋼メーカーの社長を歴任し、2014年、クリフスの社長に就任した。

「高炉メーカーなどの買収を次々と成功させたゴンカルベス氏は“鉄鋼界のイーロン・マスク”とも呼ばれています」(前出・記者)