西脇 離婚を見据えて話し合うなかで、2020年12月16日に示談書を作成しました。そのなかで、「離婚後の子供●●(子の実名)の親権者は父親、西脇大司とする」と明確にしました。

――示談書のなかでは、Aさんの不貞行為に対する慰謝料も定めたのでしょうか。

西脇 はい。2020年12月16日に、Aとの間で、慰謝料300万円を支払う示談を交わしました。

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 ただ、その後、幾度となく請求しましたが、Aからの支払いはありませんね。それから民事裁判を起こして、2024年1月29日の判決で「被告は、原告に対し、300万円を支払え」と、慰謝料請求が正当なものであることを裁判所が担保しているのですが……。

――Aさんから反論もあったのではないでしょうか。

西脇 私に脅されて示談書を書いたと主張していました。ですが、これについても「当裁判所の判断」という項目で「作成に際し、原告が脅したことを裏付けるものとはいえない」「畏怖していたことをうかがわせるような乱れはない」と結論づけられています。

――その後に支払いはあったのでしょうか。

西脇 いえ、先ほどの慰謝料は支払われておらず、養育費についても、当初は月に5000円を支払う約束だったんですが、数回の金額変更ののち1000円/月になりました。それでも払われなかったんですけどね。

 それで差し押さえに踏み切ったのですが、すでに預金口座を移されていて、400円しか差し押さえられませんでした。裁判所を通じてAの住民票のある住所宛に出頭命令を出していますが、現在はその住所には住んでいないようです。相手が行方をくらませてしまうと、何もできないんですよね。

子どもと強制的に引き剥がされてしまう辛さ

――一連の事件を振り返って、西脇さんにとってもっともつらい状況はどのようなことでしょうか。

西脇 やはり子どもと強制的に引き剥がされてしまうことですね。

 私には人様に顔向けできないようなことをしてきた過去があります。更生した自負はありますが、他人から見て信頼されない部分があることも理解しています。それでも、まったく身に覚えのないDVの加害者にされ、大切な子どもとの時間を奪われるのはあまりにも理不尽ではないでしょうか。

 もちろん女性と子供の保護が優先されるのは真っ当な対応だと思います。しかし、男性側が一度DV加害者だと言われてしまえば、DVがなかったことを証明するためにかなりの労力と時間を割くことになってしまいます。そうした事実はもう少し知られていいのではないか……と当事者として感じまうのが本音ですね。