――コロナ以降は舞妓の応募者も減少傾向にあるとも言われていますよね。そこへきて辞める人も多くなると、花街は人手不足が深刻なのでは。
桐貴 そのようです。私の元には、娘さんが「舞妓になりませんか」とSNSのDMを通じてスカウトされたというご両親からの相談が数件来ています。花街の関係者や客を名乗る人物が、実在する街や置屋さんの名前を出し、「君には才能がある」「絶対に売れる」「僕がお座敷に呼んであげる」といった言葉で勧誘しているというんです。本物のスカウトなのか、それとも花街の関係者を騙って少女を誘い出そうとしているのか、まだハッキリとしたことはわかりません。ただ、少なくともDMを送っていたうちの一人は確かに花街のお客さんであることがわかりました。
性的な接待を強いられる女の子が増えてほしくない
――怪しげな勧誘に思えますが、10代の女の子なら興味を抱いてもおかしくないですね。
桐貴 映画や漫画などさまざまなフィクション作品の影響から、アイドルを目指すのと同じ感覚で「舞妓になりたい」という子も多いようです。憧れる気持ち自体は否定しませんが、実情を知らずに舞妓になって、望まない性的な接待を強いられる女の子にはこれ以上増えてほしくないと思います。
――桐貴さんの告発と時同じくして、ここ数年は芸能界を中心に女性の性被害の告発が相次いでいます。最近も芸能人に対する女性タレントや女子アナウンサーの「上納」や「性接待」が明るみになりましたが、この問題をどうご覧になっていますか。
桐貴 この数年でたくさんの告発があったことで、性暴力について深い議論がされている状況は、大きな前進だと感じています。私が22年に声を上げたのは、何かを変えるためというよりも、「これは嫌だった」とか「これは良くないんじゃないか」という正直な気持ちを発言しやすい空気を作りたいという思いがあったからでした。
舞妓だけでなく、どんな業界や会社でも女性が虐げられている現実があるのに、見て見ぬふりをされてきた。私は幼い頃にジュニアアイドルとして活動した時期もあったので、芸能界でも同じようなことがあるのは分かっていましたし……。
――舞妓時代にも、そうした芸能界の闇を感じることはありましたか?