ミニスカートが履けるようになった
――告発直後にお話を伺った時は、「辞めて何年経っても舞妓時代の悪夢を見る。舞妓の呪縛がなかなか解けず、自信が持てない」とお話しされていました。今はどうでしょうか。
桐貴 まだ悪夢を見ることはありますが、今は半年に1回くらいに減りました。舞妓時代は女子アナスタイルと呼ばれる清楚系の服しか着られなかったのが、今ではいろいろなファッションを楽しむことをできるようになりました。「はしたない」と言われて絶対に履かせてもらえなかったミニスカートに挑戦したり……。
舞妓問題について発信しつづけたい
――まさに再出発ですね。
桐貴 そうですね。実は私、二女が生まれた6カ月後に離婚してシングルマザーになりました。これまでは20ほど年齢が離れた夫に尽くすことが当たり前だと思っていたのですが、告発を機にフェミニズムについて学ぶうちに、「このままの夫婦関係でいいのだろうか?」と思うようになってしまって。慌ただしい毎日ですが、子どもとの時間も大切にしつつ、今後も舞妓問題について発信していきたいと思っています。
――お話を伺った感じだと、舞妓さんについてはまだ知られていないことがたくさんありそうです。
桐貴 舞妓問題は1995年に祇園の元舞妓さんが暴行や監視といった実態を告発し、その内容が『舞妓の反乱』という本にまとめられています。私も今回、コミックエッセイ(『京都花街はこの世の地獄~元舞妓が語る古都の闇~』竹書房)という形で、自分の体験を本に残せたことを嬉しく思います。これを読んで、第三、第四の告発者が出てくれれば、また舞妓問題に注目が集まる日が来るかもしれません。
――そうですね。ちょっと気になったのですが……。この本、京都の書店には置けるのでしょうか?
桐貴 置けないでしょうね(笑)。ちなみに私は告発後から今に至るまで、怖くて一度も京都に足を踏み入れていません。告発した直後はさまざまな媒体からインタビュー依頼が来る中で、直前になって「圧力がかかってしまって」とキャンセルになったこともありました。だから刊行できただけでも奇跡だと思っています。漫画にできていないネタはまだたくさんあって、連載も続きますのでよろしくお願いします。
撮影=細田忠/文藝春秋

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