今年度から子どもの健康診断が変わったのをご存じかしら? おなじみの座高測定や寄生虫卵検査がなくなり、筋肉や骨、関節の状態を調べる「運動器検診」が導入されたの。

 背骨が曲がっていないか、腰を反らしたり曲げたりしたときに痛みが出ないか、片足立ちでふらつかないか、足裏を床につけてしゃがめるか――こうした項目を家庭・学校で調べて、異常があった場合は、専門医の診断につなげる。この検診が始まった背景には深刻な問題があるのよ。

 運動器がうまく機能せず、手をまっすぐ上げる、手首を反らせる、しゃがむといった基本的な動作ができない子が増えているの! 高齢者のロコモティブ(運動器)症候群の子ども版。ウソみたいな話だけど、子どもの体が老人化しているのよ。

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 埼玉県の子どもたちに行った調査では、約半数に運動器の機能不全が見られたとか。雑巾がけで脱臼する子もいるんですって! 七十歳目前のボクだって片足立ちできるのに、信じられないわ。

「側弯症」を調べる運動器検診例。治療するには成長期に異常を発見することが大切。イラスト提供・公益財団法人日本学校保健会

 原因は、子どもが外遊びをしなくなったことにあるみたい。昔は鬼ごっこや木登りを通じて体の使い方を覚えたけど、今はスマホやゲームばかりでしょう。和式トイレも使わなくなったし、日常生活で足腰を鍛える機会がないのね。転んでも上手に手をつけないから、顔面から転んで前歯や鼻の骨を折っちゃう。そこで保育園や幼稚園では運動会の前に転び方やカーブの曲がり方を教えているの。そうしないとコーナーでお友だちとぶつかっちゃうのよ。

 親も社会もこれが現状だと理解して、子どもの体づくりに取り組まないとね。筋力も柔軟性もない今の子どもたちに危険な組体操をやらせるなんて、とても心配よ。