投資マーケットによる価格形成
最近沖縄に出張した。新築マンション価格は坪300万円になっていた。以前なら考えられない高価格だ。さらに現在計画されている最新マンションはついに坪500万円となり価格で3億円の住戸が売り出されるらしい。買い手のほとんどは内地(沖縄以外)の人間だと、案内してくれた地元業者は言う。
こうした価格形成は言うまでもなく、完全に投資マーケットでのものだ。神戸市は最近、市内のタワマンの空室所有者に対して空室税なる新たな税金を課すことを検討していると発表し話題になった。投資が邪魔をして実需層が買えない、だから税金を掛けて相場を崩そうという狙いだ。なんだか相場に行政が邪魔してくる事態になっている。
いっぽう実需層は当然だが、中古マンションに群がる。新築マンションの値上がりに呼応するように中古価格も上昇したが、ここにきて価格があきらかに寝始めている。
中古平均価格は東京都内で5000万円(これは中古戸建てでもおおむね一緒だ)、首都3県で4000万円、関西圏で3000万円を超えてこない。いわゆる「壁」というやつだ。この壁が今の日本人の実像に近いのだ。投資マーケットの相場についていけないのが実需なのだ。
一般庶民がついてこられなくとも…
あるマンションデベロッパーの役員はこうも言った。
「価格が高すぎなのはわかっているが、地価も建設費もうなぎ上りだから原価増でしかたがない。これからの新築はもっと高くなるはず」
さらに、
「でも、ニューヨークやロンドン、北京や上海よりも安いらしいから外国人はどんどん買ってくれる」
「日本もこれからインフレ社会になるので価格にはついてきてくれるはず。だから当面、マーケットは大丈夫だという意見が社内でも強い」
つまり、一般庶民がついてこられなくともよい。インフレで価格上昇は避けられないので、国内外の投資マネーを頼りに商売をやっていこうとのことだ。