昨年夏に閉業を発表してから2カ月後には電撃復活を決めたオリエント工業。一連の騒動をドールファンたちはどう受け止めているのか。16年前に初めてオリエント工業でドールを買って以来、先代社長とも親交が深かったという中島千滋さん(69歳)に自宅で話を聞いた。(全2回の2回目/前編から続く、取材・文=田中慧/清談社)
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単身赴任中で妻とも不仲気味だった頃から…
「オリエント工業との出会いは53歳のとき。単身赴任中で妻とも不仲気味だった頃にふとショールームを覗き、ドールちゃんの可愛さに圧倒されまして……。一目惚れした『恵』を69万円で即購入。以降も2人をオリエントから迎え入れ、僕の趣味のスキーに連れて行ったり、一緒にドライブしたり、お気に入りのカフェで彼女たちが好きなアーモンドバタートーストを食べさせることも。車椅子に乗せて散歩していても『あら、かわいいお嬢さんね』と声をかけてもらうこともよくあります」
現在、中島さんのお宅にいるドールは全部で10体。うち中島さんが「娘」と呼ぶ3体は、オリエント工業から購入したもので、ほかはドール愛好家の仲間から一時的に保管を頼まれたり、譲り受けたりしたものだという。
「なかには中国製のドールも預かっていますが、そういう子はだんだん胸がへこんできたり、関節部分が外れてしまったりと長持ちしない。一方でオリエントの子たちは、もう15年以上経っているのに目立った故障もない。それだけ技術のこだわりがあるんだなと実感しています。
それに、オリエントならではの精巧な顔のつくりやメイクは、いつ、どの向きでドールの顔を見ても、表情がすべて違って見える。本当に愛しい日々を過ごせているのは、彼女たちのおかげです」
オリエントのドールをこれだけ愛している中島さんは、今回の閉業から電撃復活の一連の流れをどう受け止めていたのか。