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「ウンチクの部分はかなり『甲賀忍法帖』を意識しています。山田風太郎はもともと医学生で、作中の随所に医学知識をもとにしたいかがわしい説明が差し挟まれているんです。嘘と本当のバランスが絶妙で、自分もそういうのをやりたいなという気持ちが、この作品を書く上で大いにありました」
また、タイトル通り、「令和」というのも大きなキーワードだ。
「高輪ゲートウェイ駅、渋谷スクランブルスクエアなど令和になってから生まれた場所を取材して舞台にしています。麻布台ヒルズは執筆開始時にはまだ開業していませんでしたが、ペントハウスの値段が三百億円との噂を聞いて、すぐ小説に取り入れました(笑)。結果的に、作中でも過去と現代の対比を際立たせることになりましたね」
カルト宗教団体、連続毒殺魔、悪の技術者集団と多様な敵と闘っていく忍者たちだが、最終話では最強の敵集団と対峙することになる。そして、その背景には「三億円事件」が――。
「令和から平成をとばして昭和の未解決事件を書いてみたくて。消えた三億円の行方に関しては独自の説を提唱できたんじゃないかなと思います」
あおやぎあいと 1980年生まれ。2009年「浜村渚の計算ノート」でデビュー。19年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』で本屋大賞ノミネート。
