運動音痴少年にとって最大の鬼門だった集団球技
最初に断っておくが、以下は私の純個人的な100パーセントの私怨による、はなはだケツの穴の小さい恨み節である。私は学生時代を通じて、運動が思い切り苦手な少年であった。
例えば、中学2年生当時で50メートル走は8.6秒、ソフトボール投げの飛距離は11メートルで、同学年男子約180人のうち体力テストで学年ワースト2位を記録している。4段の跳び箱の跳躍に失敗して右腕を骨折し、その学期の体育の成績が10段階評価で「2」になったこともある。
そんな私がド田舎の公立中学・高校に通うなかで、最も憂鬱だったのが体育の授業だった。といっても、マラソンのような個人競技は自分がビリになるだけなので構わない。なによりも忌むべきは集団での球技であった。特にサッカーやラグビー、ハンドボール、バレーボールあたりが鬼門である。体力的な問題以上に、精神的に非常にキツかったのだ。
体育の授業で露骨に舌打ちされる
まず、授業開始直後のキャッチボールやパス練習の段階で、私と組む相手は顔をしかめて舌打ちをする。その後のチーム決めでも、私の顔を見て露骨な不満を漏らすやつがいる。いざ試合が始まれば、彼らは(敵か味方かを問わず)私を思い切り突き飛ばして肘打ちや蹴りを食らわせ、怒鳴りつけてくる。
そしてチームが負けた場合は、たかが体育の授業にもかかわらず「お前は死ねやカスが」などと全力で罵倒してガンを飛ばし、敗戦に至ったお詫びとして購買のパンやジュースを買わせようとするやつが出てくる。彼らはさらに、たかが球蹴りや球投げの能力にもとづく人物評価を、普段の班決めだの社会科のグループワークだのの日常生活にも持ち込み、しばしば私にマウンティングや威嚇を加えてくる――。
とまあ、いま思い出すとあまりの理不尽さから20年ぶりに怒りがこみ上げてきたが、これが体育の球技のたびに自分の身辺に多少なりとも発生した出来事である。