文春オンライン

韓国にあって、日本にはない最新軍事テクノロジーの「国際開発力」

座談会・新しい技術と戦争の将来(前編)

2018/08/30
note

ドローンは「空の民主化」

――それを社会的にどのように位置づけますか?

 見るだけじゃなく、モノを運ぶとか、空から何かを狙うとか、空から監視をするとか、いろいろな使い方がなされています。私たちはこれを「空の民主化」と呼んでいます。

 今は虫と鳥と電波ぐらいしか飛んでいない頭上15~150mの空間に、もう少し人の介入ができると、そこに新しいビジネスチャンスがあります。他方、プラットフォームができてしまえば悪用する人も出てくる。どういう対策が必要なのかという点も考えなきゃいけないですね。

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――重要なご指摘だと思います。第一に、動物や電波しか使用していなかった15~150mのニッチなようで広範な領域が新たな戦闘空間になってきている。まさにコロンブスの卵なんだと。

 第二には、まさに「空の民主化」ですよね。私は「鉄砲の再来」だととらえていますが、全般的に中世へ回帰しています。要するに、中世と近代の違いって、武力を国家が独占しているか否かであったはずです。それが、今や個人ですらドローンやサイバーによって、お手軽簡単に米軍を「空爆」できる。まさに「新しい中世」へと向かっていると思う次第です。

 

(司会・構成/部谷直亮)

座談会・新しい技術と戦争の将来(後編)に続く

伊藤 弘太郎(いとう・こうたろう)
 2001年中央大学総合政策学部卒業、2004年同大学大学院総合政策研究科博士前期課程修了、2017年同大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。
 衆議院議員事務所、公益財団法人日本国際交流センター等での勤務を経て、2015年1月より内閣官房国家安全保障局にて、参事官補佐として韓国を中心とする東アジア地域の政策実務に携わった後、2017年7月よりキヤノングローバル戦略研究所研究員(現職)。2018年4月より淑徳大学コミュニティ政策学部にて兼任講師も務める。

林 真吾(はやし・しんご)
 株式会社サイバーディフェンス研究所CHO(最高ハッキング責任者)。90年代からサイバー空間に生息するエインシェント系ハッカー。

南 政樹(みなみ・まさき)

 慶應義塾大学政策・メディア研究科特任助教。
 慶應義塾大学でInternet of Things(IoT)とサイバーフィジカルシステム(CPS)の研究に従事。あらゆるものをデータ化し価値を創造するため技術研究に従事。ドローンは「地上1mmから150mまでの空間を守備範囲とするIoTデバイス」として捉え、当たり前の存在となる「ドローン前提社会」を標榜している。ドローンの新たなプラットフォームとしての可能性と課題を共有し解決策を研究する場として「ドローン社会共創コンソーシアム」を設立した。

 写真=山元茂樹/文藝春秋

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