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40回に1回、支払いがタダになる

「100億円あげちゃうキャンペーン」

 11月22日に発表されたPayPayのユーザー獲得キャンペーンである。

・お金を支払うたびに20%がポイントバックされる。
・抽選で40回に1回は支払いがタダになる。

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 というニンジンをぶらさげて、ユーザー獲得を狙っている。このキャンペーンは還元金額が100億円に達するまで続けられるという(達しなかった場合でも3月末に終了)。

「PayPayで10万円が当たった」というユーザーのツイート

クリーニング屋、インド料理屋にもPayPayが

 さらに導入店舗向けのキャンペーンもあり、加盟した先着30万店舗に限り、決済金額の1%をキャッシュバックする(来年1月末までの期間限定)。消費者が1万円支払うと、お店には1万100円が支払われるわけだ。当初3年間は決済手数料が無料のため、店側にとっては純粋に売り上げが1%増えることになる。

 世界的な投資会社のソフトバンクグループ、日本一のポータルサイトであるヤフージャパンという巨大企業がバックについているPayPayならではの大盤ぶるまいだ。

 さらにソフトバンクグループの誇る営業部隊がローラー作戦を展開。個人経営店をも丁寧に巡回する営業活動にもリソースを注いでいるため、思わぬところで導入が進んでいる。例えば、東京都江戸川区にある筆者の自宅周辺では、クリーニング店、ラーメン店、ネパール人経営のインド料理店と、今までキャッシュレスとは無縁だった個人経営店で利用可能だ。

全国20拠点、大規模人員での営業を仕掛けるソフトバンク
PayPayの提携先「Paytm」は中国「アリペイ」の技術協力を受けている

PayPayは孫、アリペイが父?

 圧倒的物量で攻めるPayPayの戦略だが、実は中国を模倣したものだ。

 PayPayのシステム開発はインドのQRコード決済サービス「Paytm」の協力を得ている。そのPaytmに技術協力をしているのが中国アリババグループのアリペイだ。アリペイが父、Paytmが子、PayPayが孫という関係だろうか。アプリのデザインまでよく似ている。

 中国流を受け継いだのはシステムだけではない。ビジネス戦略までも中国式だ。そもそもなぜ中国ではQRコード決済が普及したのだろうか。「決済関連法規の規制緩和」「QRコードは初期費用が安く、個人店舗ですら容易に導入が可能」といった理由もあるが、最大の要因は「利用習慣を養うための巨額キャンペーン」だ。

 人間とは保守的なもの。長く続けた現金払いという習慣を変えるのは面倒くさい。それでも無理矢理新しい決済を普及させるにはどうするべきか。圧倒的なお得感で攻めるしかない。ではどのようなキャンペーンが行われたのか。いくつか事例をあげよう。