3月27日発売の『週刊文春』の名物連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」に、作曲家、編曲家、音楽プロデューサーの鷺巣詩郎が登場。
鷺巣といえば、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの音楽を手掛けたことで知られる作曲家だ。普段はパリやロンドンを拠点に活動しているが、先日最終回を迎えたTBS日曜劇場『御上先生』では、15年ぶりにテレビドラマの劇伴を担当した。
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「この作品はやろう」と決めた理由
「僕が『御上先生』を引き受けるきっかけになったのは、監督さんがすごく若かったからなんです。しかも初監督作品。宮崎陽平さんという方で。
去年の初夏に宮崎監督と初めて会ったんですが、『こんなに若い人なんだ』と驚きました。自分が若くしてピックアップしてもらったこともあって、若い人に託すとか賭けるとか、そういうことが大事だとは常日頃から思っているので、もうその場で『この作品はやろう』と決めました」
今回のドラマは、鷺巣にとっても異例のスピードで曲が出来上がったという。
「その1カ月後に脚本を全部いただきました。それがまた素晴らしい脚本で。ページをめくるたびに音楽がどんどん浮かんできて。
今回の場合、7月に脚本を読み、8月の終わりにはほとんどの曲ができました。そういうことってまずないんですよ。レコーディングもしてしまおうと、すぐにパリでオーケストラを60人ぐらい集めて」
本来ならばTBSのゴーサインを待つ必要があるが、なんと「インスピレーションを逃したくないから」とレコーディングをしてしまったのだという。
「お金はかかりますけどね、そこはまず自腹で。11月の打ち合わせで、こういう音楽をつくってくださいと発注を受けるときにはもう『実はこんなんできました』って音源を持っていきました(笑)。もちろんそこで『ちょっと違う』と言われたら、おじゃんですよ」