残心の人

五木 寛之 作家
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昭和7年生まれで、長嶋茂雄より4歳年上にあたる五木寛之氏(92)。ほぼ同時代を生き、「昭和」という時代を描いてきた大作家の目に、「長嶋茂雄」は、どう映っていたのか。

 昭和20年の敗戦の後、外地から福岡に引揚げてきた。

 当時、学制改革とかいうものがあって、新制中学、新制高校がスタートした。その頃の中学生たちは、ほとんどが野球少年だったと言っていい。私もその例にもれず、地元の少年野球のチームに加わってボールを追いかけて走り回っていた。

 その頃、アメリカからフラナガン神父とかいう人が来日して、大きなニュースになっていた。どういう人だかよくわからないが、彼の主張は、「野球をやる少年に不良はいない」というものだった。

ミスターより4歳上で同時代を生きた五木寛之氏 Ⓒ文藝春秋

 しかし、私が所属していた少年野球のリーダーである先輩は、れっきとした不良少年だった。ピッチャーで四番バッターのワンマンである。その頃の少年野球のボスは、ほとんどが不良だったのだ。フラナガンさんは何を言ってるのだろう、と、不思議に思ったものである。

 当時の少年たちのヒーローは、赤バットの川上選手、青バットの大下選手だった。

 地元福岡にプロ野球球団が誕生して、その名前を募集したことがある。

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source : 文藝春秋 2025年8月号

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