韓国は米国に切り捨てられる 在韓米軍撤退へ

麻生 幾 作家
ニュース 国際 韓国・北朝鮮
ついにアメリカの虎の尾を踏んだ文在寅政権。米韓関係はこのまま「破滅」へ向かうのか──その内実をレポートする

もはや“亀裂”というレベルに留まらず、“破滅”だ

「その事件は、在韓米軍撤退のスケジュールを早めることに繋がった」

 アメリカ・インド太平洋軍(インド太平洋軍)関係者が深刻な表情で私に語った“その事件”とは、今年10月18日、韓国の首都ソウルで発生した、親北朝鮮大学生団体メンバー十数人が在韓アメリカ大使公邸に乱入した事件(乱入事件)である。

 同メンバーたちは、反米プラカードを掲げながら、ハリー・B・ハリス・ジュニア大使(ハリス大使)とその家族が暮らす「公邸」の塀を乗り越えて敷地内に乱入。建物の玄関前を占拠した上で、「ハリスは韓国から立ち去れ!」「アメリカ軍は韓国から出ていけ!」などと、1時間以上にもわたって叫び続けた。

 しかし、ウィーン条約という国際規約で義務化されている外国公館の安全を図るべき韓国警察は、驚くことに、乱入を阻止することも、排除することもほとんどせず、長時間ただ傍観していた。

 幸いにも、ハリス大使と家族は公邸を留守にしていたが、もし居たのならば、家族が感じた恐怖は生命の危険そのものだったはずだ。

 言うまでもなく、「大使」という存在は国家そのものであり、だからこそ「特命全権」という冠がつく。

 その国家そのものの存在と、その家族が生命の危険を感じるという事態は、派遣する国家としてまったく許容できないのは自明の理だ。

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source : 文藝春秋 2019年12月号

genre : ニュース 国際 韓国・北朝鮮