トヨタ、ホンダ、日産の中間期決算で見えてきた日本自動車産業の不穏な“未来予想図”

井上 久男 ジャーナリスト

電子版ORIGINAL

ビジネス 経済 企業

 日本の自動車メーカー大手3社(トヨタ自動車、ホンダ、日産)の2026年3月期中間決算(2025年4~9月)が出そろった。各社とも「トランプ関税」による大きな打撃を受けたが、「稼ぐ力」の差によって各社の明暗がハッキリと分かれた。全世界で販売が好調のトヨタが、その収益力で“関税ダメージ”を撥ね除けた一方、ホンダは四輪事業が営業赤字に転落し、同様に日産自動車も営業赤字となった。

 それでは各社の決算を見ていこう。まず、トヨタが11月5日に発表した中間決算は、営業収益(売上高)が前年同期比(以下同)5.8%増の24兆6307億円で過去最高となった。だが、本業のもうけを示す営業利益は18.6%も減らして2兆56億円となった。

決算発表するトヨタの近健太執行役員 ©時事通信社

 営業利益の内訳を見ていくと、販売増など営業面の努力で6450億円の増益要因があったものの、「トランプ関税」の影響で9000億円、為替の影響で3900億円の減益要因が発生。増益要因の2倍もの減益要因が生じたため、減益となった。

 連結販売台数(出荷ベース)は5%増の478万台。その内訳は、日本国内が3.3%増の97万台、北米が13.8%増の153万台、欧州が4.6%増の57万台、アジアが5.7%減の85万台、中東、アフリカなど、その他地域が4.5%増の85万台となった。

 アジアでの販売が落ちたものの、得意とするハイブリッド車を「武器」に世界の主要地域で販売を伸ばしたことで、減益とはいえ売上高営業利益率8.1%の高い収益性を維持した。地域バランスの取れた、大きな穴のない販売構造がトヨタの強みと言えるだろう。

 今回の結果について近健太CFO(最高財務責任者)は、こう評価した。

「世界で強い需要があることと、高い商品力があるため、台数が堅調に伸びた。バリューチェーン(VC)利益も年間で2兆円レベルに到達しそうだ」

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : ビジネス 経済 企業