浅草に6人を残すのみ。師匠が芸の極意を明かす
(取材・構成 渡辺勘郎)
「太鼓持ち」とも呼ばれる「幇間(ほうかん)」は、花街のお座敷で芸者とともに宴席を盛り上げる仕事。発祥は江戸前期と言われ、約400年も続く日本の伝統芸だ。「幇」は「助ける」、「間」は「人間関係」の意で、宴席で客と芸者に気を配って絶妙の間で会話をつなぐ。昭和初期には500人近くいたが、いまや浅草に6人が残るのみの“絶滅危惧種”。現役幇間の中で芸歴トップの櫻川米七師匠(75)に、芸の極意を聞いた。
「20代から何十年もやってるんですけど、芸はまだまだ未熟なんで、ただイケメンなだけです」
お座敷に上がるたび、いまだに言ってます。前は「ハンサム」って言ってたんですけどね、「イケメン」に変えました。近頃は、「ハンサム」なんて“死語”は使わないから(笑)。

幇間の成り立ちはハッキリわからないんですが、江戸時代に吉原が日本橋葺屋町(ふきやちょう)から浅草寺裏に移転して“新吉原”ができた頃(1655年)と聞いています。歌舞伎役者や噺家といった芸人が、ご贔屓の旦那衆をお座敷に連れてきてはご相伴にあずかって、それがいつの間にか宴席で旦那衆の相手をする専業になっていったようです。やってることは芸者衆と一緒ですから、男芸者とも呼ばれる由縁です。
歌舞伎役者も噺家も、芸は舞台でやるもんで、客席とは分かれていますね。芸を披露すれば、後は楽屋に引っ込んでりゃいいけど、私らはそうはいかない。お客様と一緒のお座敷で芸をして、芸が終わってからもお相手をしないと。その時間のほうが大事なくらい。正直、芸をやってるほうが楽ですね(笑)。
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source : 文藝春秋 2026年1月号 伝統の芸 幇間 お座敷遊びのコーディネーター

