いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

自公連立与党は、2024年10月の衆議院選に続き、2025年7月の参議院選でも過半を割った。9月に石破茂首相が退陣を決め、10月には新たな自民党総裁に高市早苗氏が選出された。物価高への有権者の怒りが背景だが、そこには一過性ではない構造的な問題が潜んでいる。
まず、1998年以降の過去四半世紀で、日本の時間当たり生産性は3割上がったが、時間当たり実質賃金は上がっていない。近年の円安インフレもあり3%ほど下落している。
この間、米国では時間当たり生産性は5割上昇し、時間当たり実質賃金は3割上昇した。日本も米国並みに生産性を上げれば実質賃金が上がる、と主張するエコノミストも多い。ただ、同期間のドイツとフランスは、時間当たり生産性の改善が日本に比べて劣るが、時間当たり実質賃金は、フランスが米国に肉薄、ドイツは米仏ほどではないが15%程度上昇し、日本を大きく上回る。
生産性が改善しているにもかかわらず、それが実質賃金に反映されない日本は異例だ。財界人は、日本は人口が減少しているから個人消費が増えず、国内では投資採算が悪いという。しかし、過去四半世紀で時間当たり生産性が3割も上昇したのだから、人口減少の影響は吸収されているはずだ。個人消費が増えないのは、実質賃金を抑えるからで、それゆえ企業の国内売上が増えず、採算が取れないため、設備投資を行うのが海外ばかりとなる。典型的な「合成の誤謬」だ。
きっかけはメインバンク制崩壊
我々はどこで道を誤ったのか。不良債権問題に端を発する1990年代末の金融危機で、メインバンク制が崩壊したことが大きく影響している。
米国では不況が到来すると、企業は倒産を避けるべく、雇用リストラを進める。日本の大企業経営は長期雇用制を前提とするが、それが可能だったのは、メインバンク制が存在したからだ。不況が訪れても、メインバンクからの金融支援で、大企業は雇用リストラを避け、長期雇用制を維持できた。
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