学術論文のテクニックはビジネスにも応用できる
論文の執筆で最も重要なのは、「事実(ファクト)」や「論理(ロジック)」ではなく、その主張に“飛躍”があるかどうか。「ファクト」や「ロジック」には“飛躍”がありません。“飛躍”がある「アーギュメント(主張)」を提示できているかどうかが肝心なんです。
著書『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)で、一見、論理的でないような、それこそ“飛躍的な主張”をしているのは、筑波大学人文社会系助教の阿部幸大氏だ。「東大・京大で1番読まれている本」として版を重ね、累計発行部数は7万5000部(電子版も含む)。
本書が指南するのは、主に人文系の学術論文の書き方だが、ビジネスの企画書にも応用できるような貴重な知見に溢れている。
実際、日米文化史が専門の阿部氏は“論文のプロ”としても広く活躍し、筑波大学の人文社会系で初となる筑波大学発ベンチャー企業「Ars Academica」を運営し、学術論文の添削・研究アドバイスのサービス事業も行なっている。

この本を書いた理由は二つあって、一つは、元になる文章をブログに書いていたところ評判になって、編集者が声をかけてくれたこと。そして、そもそも自分自身が論文を書けなかったから、そうした文章をブログに書いていたというのが、もう一つの理由でした。
論文が書けない自分のために
「何かできないこと」があると、「なぜできないか」を解析して、「できるように学習する」ということ自体が、私の一種の“特技”になっています。
たとえば若い頃に始めたドラムは、「基礎技能」と「応用」の距離が近い比較的単純な楽器で、ドラムを通じて「基礎練習に集中すれば応用もできる」という感覚を身に付けました。そして「基礎の完成は無限の応用を生む」を中学2年生の時の格言とし(笑)、これを受験勉強にも応用したのです。
そこで「数学における基礎とは何か」を考えました。これはある意味でドラムと近く、数学Ⅰの最初の単元は「数と式の計算」です。要するに「計算ミスをしないこと」が基礎中の基礎になる。
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