アフリカとグリーンランドの面積比

佐藤 健太郎 サイエンスライター

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サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します

 トランプ大統領が、米国によるグリーンランドの購入をぶち上げ、世界を驚かせたことは記憶に新しい。大統領は購入の理由として、グリーンランドの地図を見ながら「とてつもなく大きい。これはアメリカの一部であるべきだ」と語ったという。

 このことから、「トランプ大統領はグリーンランドの大きさを勘違いしているのではないか」と揶揄する声が上がった。世界地図に最もよく用いられているメルカトル図法では、極地に近い場所ほど大きく表示される。このためグリーンランドは、地図上ではアフリカ大陸と同じほどの大きさで描かれるが、実のところアフリカの方が約14倍も広いのだ。

 もちろん実際には、トランプ大統領がメルカトル図法の欠点を知らなかったなどということはあるまい。各種資源と、軍事的要衝の確保を狙ったものだろう。グリーンランドは日本の約6倍の面積を持つ世界最大の島だから、「とてつもなく大きい」というのも別に間違いではない。とはいえ我々もトランプ大統領も、見慣れたメルカトル図法によって、無意識のうちにグリーンランドを過大評価してしまっている可能性はありそうだ。

「thetruesize.com」というサイトでは、パソコンやスマホの画面上で国を移動して重ね、実際の面積を比較することができる。これで日本をヨーロッパに持っていくと、思ったより西欧諸国は小さいことがわかる。実のところヨーロッパで日本より広い国は、ウクライナ、フランス、スペインなど数カ国に過ぎない。日本より北にあるヨーロッパ諸国は、メルカトル図法ではかなり大きく見えており、我々も感覚を狂わされているのだ。

 となると、赤道に近い国々はもっと割りを食っていることになる。このため最近アフリカ連合から、メルカトル図法の代わりにイコールアース図法を使用する案が出された。これは2018年に発表された図法で、国の形の歪みを最小限に抑えつつ、面積が正しく表示される。これによって各国にアフリカの大きさを正確に認識してもらい、プレゼンスを高める狙いだ。

 地図などよりももっと優先すべき問題があるという批判もあるようだが、案外馬鹿にできないことかもと思う。見た目のイメージに引きずられ、中身の評価まで誤るという例は数多い。正しく測り、正しく見ることこそ、正しい判断の第一歩だろう。

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source : 文藝春秋 2026年7月号

genre : ニュース サイエンス