自転車の絵を空で描ける人は少ない。そんなことはないと思う人は、実際に描いてみるとよい。フレームはどんな形をしているのか、ペダルはどこについているのか、ハタと手が止まるのではないか。
先の9月、脚本として参加したアニメーション作品『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』のテレビ放送が最終回を迎えた。

原作漫画の単行本が刊行されたのは1991年。30年以上前の作品となる。これまでにも何度も映像化されてきたのだが、今回は、原作にかなりのところ忠実に、という運びとなった。
漫画があるなら映像化は単純作業ではないか、と思われるかもしれないのだが、人間、わからないものを描くことはできない。模写したところでどこかがおかしなことになる。
日頃これだけ目にしている自転車でさえ、メカニズムを理解していなければ、映像化するのは難しい。
『攻殻機動隊』の舞台は近未来の日本である。そこでは人間の脳と機械がマイクロマシンを通じて接続されている。人間と違和感なく対話できるロボットもいる。主人公たちは公安組織に属しており、主な相手はテロリストである。
となると、SF的な装備によって、悪者を整然と圧倒していく冷徹な主人公像が思い浮かぶかもしれないのだが、『攻殻機動隊』はなかなかそういう作品ではないのである。
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