「君は天然色」など数々の名曲を生み、世界的なシティポップブームで再評価される大滝詠一(1948~2013)。今年3月、死後公開を前提にしたロングインタビュー『幸せな結末 大滝詠一ができるまで』(文藝春秋)を刊行した音楽評論家・萩原健太氏が、その魅力を紹介する。

大滝詠一は音楽家だ。が、その興味は音楽にとどまらず、野球、相撲、映画、演芸など幅広い分野に向けられていた。時期によっては音楽そっちのけ。多彩な分野個々の徹底研究に全身全霊で打ち込んでいた。
あれは2003年のこと。大滝さんは突如、江戸時代の古地図に凝りだした。ノートパソコンに現在と江戸時代と、両方の地図を導入。GPSも駆使しながら熱心に都内を散策……いや、探索して歩いていた。
なんでまた急に古地図? と、軽い気持ちでぼくが投げかけた問いに大滝さんはこう切り出した。
「松井の本拠地初戦、見た?」
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