「受賞が決まった夜は、カップ焼きそばを買って帰りました」。そう語る21歳、現役大学生作家の宇佐見りんさんは、「小説を書く」という行為にどのように向き合ってきたのでしょうか。受賞直後のインタビューで赤裸々に語ってくれました。
受賞のことば 宇佐見りん
「今の気持ち」を喋るうちに壊れそうな気がした。書き言葉が残るのは当然だが、会見など吟味できない喋り言葉も残るので簡単に口をひらけなくなる。でも「本気の言葉」は無尽蔵には出てこない。
言葉やお花が届いた。お世話になっている人、懐かしい人、顔は知らないけれど喜んでくれる人、私を傷つけた人、私が傷つけた人。嬉しさと感謝、焦り、のほか様々な感情が腹に溜まった。落ち着かぬままポートレート撮影をしてもらった。東京を一望できる屋上にあがると、立ち並ぶビルに透明な日が射している。遠方は霞み、水の匂いがする。皆笑顔だった。担当編集者の方も笑った。よかった、と思った。この人たちに私を繋げてくれた言葉というものを、裏切りたくない。せめて書き言葉には誠実でありたい。
〈略 歴〉
1999年静岡県生まれ。現在大学生。2019年、「かか」で第56回文藝賞を受賞。同作は翌年、第33回三島由紀夫賞を受賞。
宇佐見さん
ジャンクなものは”心の贅沢”
――芥川賞のノミネートは初めてでしたが、結果を待つ間は緊張しましたか?
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source : 文藝春秋 2021年3月号