張本　先日の『サンデーモーニング』（四月十二日放送）で、サッカーの三浦知良選手に「もうお辞めなさい」と発言したところ、思ったよりも大きな反響がありました。視聴者から局に千件くらい意見が来て、七百は「お前が辞めろ」といった誹謗中傷や批判の声だったそうです。

　釜本　色んなところで取り上げられて、結構な騒ぎになりましたね。

　張本　私はカズを非常に高く評価してますよ。十五歳で単身ブラジルに渡って、長年日本サッカー界を引っ張ってきた。並大抵の選手ではありません。だけど、もう三十年以上もやってるでしょう。私も現役は二十三年やったから、最後は苦しくて辛いのがわかる。誰も言えないのなら、「もうカズ、ええやないか」と言って、楽にしてあげたい気持ちがあったんですね。もう一つは、カズのようになりたい若い選手が、サッカー界に何百人とおるわけですよ。「あなたはもう辞めて、国元を離れて安月給でおにぎりかじりながら頑張っとる奴らにチャンスをやってくれ」という思いもありました。

　釜本　カズが九十分間フルにプレーすることができるかというとそれは無理ですし、若い人に席を譲ってあげることも確かに大事だと思います。ただ、同じサッカー界の人間としては、たとえ思っても、張本さんのようなことははっきりとは言えない。だから逆に、私なんかは「死ぬまでやればいいじゃん」とか言うんですけどね（笑）。

　張本　あなたは同業だからね。私は他のスポーツ出身だから言えるんですよ。

日本代表に「ダブル喝！」

　釜本　私がカズを立派だなと思ったのは、今から十年くらい前、もうベテランだった彼が練習中に一番先頭を走っていましてね。そのとき、僕が「もうええ歳なんだから、一番後ろからトコトコついていけばええんだよ」という話をしたら、「本当は後ろに行きたいけれども、僕が後ろに行ったらみんな走りませんから、前で引っ張っていきます」という答えが返ってきたんです。彼は今でもそうした気持ちを持ち続けているし、「選ばれれば代表に入りたい」と真面目に言う。なかなかできるもんじゃないですよ。

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