防衛大臣が明かす緊迫の最前線

小野寺 五典 衆議院議員
ニュース 政治 国際

前代未聞のレーダー照射。そのとき自衛官は──。領土防衛の現実を語る

尖閣諸島 ©共同通信

 ――安全保障の問題はいま、経済と並んで国民の重大関心事です。まず一月に二度も起こった、中国海軍の艦船による「レーダー照射事件」の詳細についてお聞きしたい。

 小野寺 一回めは、一月十九日土曜日の午後五時頃、場所は東シナ海の公海上です。中国海軍のジャンカイⅠ級のフリゲート艦から、海上自衛隊第六護衛隊「おおなみ」搭載のヘリコプターに対して、「火器管制レーダー」の照射と疑われる事案が発生しました。自衛隊の艦船やヘリコプターは、レーダー波の照射を感知すると警報音が鳴る仕組みになっているのです。

 艦船が砲やミサイルといった火器を使用するに当たって、相手の位置を測るために照射するのが火器管制レーダーです。これを照射したあとは射撃という可能性がありますから、極めて危険な行為だといえます。ヘリに搭載された機器によりデータを収集しましたが、このときは決定的な証拠が取れたわけではありません。

 ただし非常に特異な事案だということで、情報はその日のうちに私のところへ上がってきました。重要な事案なので、公表については慎重に判断すべきだと考えました。公表と同時に外交ルートで抗議するとき、客観的なデータを示す必要があるからです。安倍総理には、その日のうちに秘書官を通じて一報の上、翌二十日に防衛省へ来られる用事があったので、その際に時間を取って私からご説明してあります。

 二回めは一月三十日水曜日の午前十時頃、やはり東シナ海の公海上です。今度は海上自衛隊第七護衛隊の「ゆうだち」が、中国海軍ジャンウェイⅡ級のフリゲート艦から火器管制レーダーを照射されました。双方の距離は約三千メートルでした。このときは、しっかりとデータが取れています。

 この情報は、現場から運用企画局長まではすぐに上がっていたそうです。確実かどうか確認した上で私に情報が上がったのは、二月五日の午前中でした。

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source : 文藝春秋 2013年04月号

genre : ニュース 政治 国際