イオングループの前身である岡田屋呉服店に生まれ、社長や会長を歴任する実弟の岡田卓也氏を支えた小嶋千鶴子(1916〜2022)。セブン&アイ・ホールディングス会長等を務めた鈴木敏文氏が回想する。
小嶋さんは江戸時代から続く四日市の呉服店「岡田屋」に生まれ、ご両親が早世されたため、23歳の若さで経営を任されています。この頃、弟の卓也さんはまだ学生でした。第二次大戦後、新円への切り替えを知るや、ただちに岡田屋の手持ちの現金を商品に換えて円暴落を乗り切った逸話は今も語り継がれています。のちのジャスコ、現在のイオンの礎を築かれた方と思います。卓也さんが東京から帰って経営の前面に立つようになっても、小嶋さんは後ろで支えて、特に従業員の教育を熱心になさっていたと聞きます。お目にかかると、いつも「卓也が、卓也が」と気にかけていました。弟さんを助けながら、自ら経営するという信念も持っていた方です。経営に対して常に真摯で、人を育てることを非常に大切にしていた。小嶋さんは生前、上司からの指示にただ従い、周りと同じように働く社員に厳しかったと言われています。“人まね”ではない、自らの生き方、考え方を持っておられたのでしょう。イオンの「経営の魂」を作った人です。
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source : 文藝春秋 2023年1月号