第二次世界大戦中、ナチスの迫害から逃れるユダヤ人難民に独断でビザを発給し、6000人もの命を救った外交官の杉原千畝(1900〜1986)。四男の杉原伸生氏が後年、その行動について問うと——。
終戦をヨーロッパで迎えた父は家族と共に、ソ連占領下の収容所で1年半にわたり拘束されました。1947年4月に帰国しましたが、しばらくして外務省から呼び出され、「例の件もあり、もうここに君の居場所はないから、辞表を出してくれ」と言われたそうです。父は役人仕事に未練はなかったようで、さっさと外務省を退職し、神奈川県の鵠沼で小さな雑貨店を開きました。
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source : 文藝春秋 2023年1月号