「『大奥』は全部女の痛快な世界」

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今年1月に再びドラマ化。徳川家の女将軍が熱く支持されるわけは?(聞き手・南 信長)

『大奥』から ©よしながふみ/白泉社

『大奥』『きのう何食べた?』などで人気の漫画家・よしながふみ。江戸時代を舞台に男女逆転社会を描いた『大奥』は、疫病やジェンダーなど、現代にも通じる諸問題を扱い、手塚治虫文化賞、小学館漫画賞、日本SF大賞ほか多くの賞を受賞した。

――足かけ18年にわたる『大奥』の連載を一昨年完結されました。家光の時代から明治維新まで200年以上の歴史をよく描き切られたなと。

 よしなが 全体の構想は最初からあったんですが、描き始めたときには舐めていて「5巻ぐらいで終わるだろう」と思っていたんです。ところが、1巻分描いたところで「これはダメだ、思っていた倍はかかる」と。で、10巻近くになってまた「ダメだ、終わらない。でも20巻は行きたくないな」と思って、ギリギリ19巻で終わりました。半ばぐらいで「これは長くなりそう」と、ちょっと気が遠くなりましたね。

――20巻は行きたくないというのは、どうしてですか。

 よしなが 自分が好きだった漫画もそんなに長大なものはなかったので。私は『ベルサイユのばら』(池田理代子)が大好きだったんですけど、たった9巻で10巻は番外編なんです。それであれだけのことが描けるのだから、と。あと、少女漫画は20巻を超えると売れ行きが悪くなるというのも正直あって(笑)。

――「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」という若い男子のみが感染する致死率の高い疫病の流行によって男子の人口が激減。その結果、男女の社会的役割が逆転し、労働力として社会を維持するのも家督を継ぐのも女、将軍も女が務め、大奥は男の園に……という設定で始まります。いわゆるジェンダー論的な部分がテーマかと最初は思ったんですが、巻を重ねるうちにむしろ政治と権力のドラマのように見えてきました。一番核になるテーマは政治の部分だったのでしょうか。

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source : 文藝春秋 2023年2月号

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