高木守道、奈良原一高、重光武雄、八杉康夫、根岸京子

蓋棺録

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大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム。

★高木守道

 元中日監督の高木守道(たかぎもりみち)は、現役時代は華麗な守備で「ミスター中日」と呼ばれた。

 高木の得意技は、打球を止めたら即座に手首のスナップで送球して走者を刺す「バックトス」だった。あるとき失敗して、当時の水原茂監督に「もう使うな」と申し渡される。しかし、高木は密かに練習して、次のチャンスで見事に成功させる。水原は何も言わなかったという。

 1941(昭和16)年、名古屋市に生まれる。岐阜商業高校に入学。遊撃手として活躍していたが、神宮のスター長嶋茂雄がコーチとして招待されたとき、「彼は二塁手のほうが向いている」と監督に助言する。名二塁手の誕生のきっかけとなった。

 60年、中日に入団。同年5月にデビューするが、初打席でホームランを放ちファンを熱狂させる。63年に50盗塁を記録し盗塁王となり、65年、73年にも盗塁王を獲得している。

 77年に4打席連続ホームランを達成、通算2274安打を放ち、生涯打率は2割7分2厘。二塁手としてはベストナイン賞を7度、ダイヤモンドグラブ賞を3度手にした。困難なバックトスを成功させても表情を変えず「いぶし銀の守備」と称賛された。

 つねにファンをうならせた美技を支えるのは、たえまない鍛錬だった。バックトスは米球界経験者のカールトン半田に教えてもらったが、暇さえあればバックトスでボールを壁の定位置に正確に当てる練習を繰り返していた。

 39歳で現役を引退し、中日のコーチ、2軍監督、代理監督を務め、92(平成4)年に監督に就任。94年には独走していた長嶋監督の巨人を急追し、同年10月8日の最終戦には同率首位で対決、敗れたものの「10・8決戦」と呼ばれて語り草となる。

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source : 文藝春秋 2020年3月号

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