★梓みちよ

　歌手の梓（あずさ）みちよ（本名・林美千代）は『こんにちは赤ちゃん』が大ヒット、以降も多くの歌でファンを魅了した。

　1964（昭和39）年、学習院初等科同窓会に招かれ、昭和天皇の前で『こんにちは赤ちゃん』をうたい、天皇陛下に労いのお言葉を賜る。「『赤ちゃんこんにちは』をありがとう」。「いえ、『こんにちは赤ちゃん』です」。お言葉を訂正したとして話題になった。

　43年、福岡県に生まれる。福岡女学院高等学校2年のとき宝塚音楽学校に入学したが、ジャズやボサノバが好きで渡辺プロダクションのオーディションに合格。学校は中退して歌手デビューする。

　63年にはNHKの歌謡番組『夢であいましょう』でうたった『こんにちは赤ちゃん』が100万枚の大ヒットとなりレコード大賞を受賞。紅白歌合戦にも出場し、翌年には初の「天覧歌手」となって国民的な人気を獲得した。

　しかし、あまりの成功によって「求められる歌とうたいたい歌」のギャップが大きくなりスランプを迎える。71年、和田浩治と結婚して新境地を開くかと思われたが、1年ほどで離婚。しかも、74年に和田が週刊誌で「みちよが結婚したのは、同性愛者であることを隠すためだった」と発言して、梓のイメージはスキャンダルまみれとなる。

　跳ね返したのは、同年の『2人でお酒を』の大ヒットだった。この歌をうたうときには胡坐をかいてほろ酔い気分を演出。ショックを受けた従来のファンもいたが、イメージ転換に成功する。76年の物憂い『メランコリー』もヒットして愛唱された。

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