芳賀徹、宮城まり子、マッコイ・タイナー、別役実、ジャック・ウェルチ

蓋棺録

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム。

★芳賀徹

 東京大学名誉教授の芳賀徹(はがとおる)は、明治時代の再検討や徳川文化ルネッサンスの中心的論者として活躍した。

 1981(昭和56)年に刊行した『平賀源内』は、「封建制に才能を潰された発明家」という暗いイメージを一掃。源内をいくつもの新しい試みをコーディネートした「アイデア・ハンター」として描いて、研究者たちを驚かせ、歴史ファンを喜ばせた。

 31年、東京に生まれる。後に歴史学者となる父親の幸四郎は、東京高等師範学校(現・筑波大学)を左翼運動で退学となり、直後に芳賀が誕生した。「山形の祖父母に預けられたので、植物に詳しくなりました」。幼少より成績がよく、旧制一高(現・東大教養学部)に入学。同級生に行天豊雄、本間長世、高階秀爾、粕谷一希がいた。

 東京大学に入学して前田陽一の元でフランス文学を学び、同大大学院では『ロシヤにおける広瀬武夫』を書いた島田謹二に師事した。フランスのパリ大学に留学後に、論文「明治初期1知識人の西洋体験」を発表して、高い評価を得ている。

 その後、東大助教授となりプリンストン大学に留学し、米国の日本研究に刺激を受けて帰国。75年に東大教授、91(平成3)年から国際日本文化研究センター教授を併任した。その後、大正大学教授などを経て、京都造形芸術大学学長を務めている。

 この間、論壇誌に執筆し、多くの著作を刊行したが、その多くが「徳川時代は暗黒時代」だとする歴史観に異議を申し立てるものだった。

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source : 文藝春秋 2020年5月号

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