デジタル民主主義は日本から始まる

選挙の未来を考える

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 2024年7月。私は東京都知事選に「デジタル民主主義」を掲げて立候補した。政治経験はなく、無所属新人として、いわゆる地盤・看板・カバン0での挑戦だった。選挙報道は主要4候補に集中し、選挙期間中に私がテレビに映ることは1秒もなかった。

 結果は15.4万票、5位。政治経験もなく、政党の支援を受けない新人候補としては、東京都知事選史上最多の票数だった。もちろん当選を逃したことは忸怩たる思いが残るが、たくさんの都民の方が私と東京の未来を共に作りたいと託してくれたことは誇らしい。そしてこの結果を受けて、いま海外の識者の間では「デジタル民主主義は日本から始まるのではないか?」と語られるようになった。

 議会制民主主義が導入されてから、もう100年が経過している。それなのに、いまだ我々が選挙でできることといえば、ただ1票を投じることだけ――もちろん、極めて貴重ではありながら、私はこの「1票」は、あまりに情報量が少ないのではないかと感じている。

安野貴博氏 ©文藝春秋

 都知事選において私が目指したことは、「ブロードリスニング」型の政治のあり方を提示することだった。これまでの選挙のように、候補者の考えを一方的に伝えるだけの「ブロードキャスト」ではなく、選挙期間から、皆が考えていることを聴いて政策を磨く「ブロードリスニング」を行おうと考えたのだ。具体的な施策としては、3つのことを行った。

(1)私のマニフェストをAIに学習させた「AIあんの」の開発・公開

 24時間、YouTubeまたは電話で、私のマニフェストについての質問に、私のアバター「AIあんの」が答える。期間中、8600件の質問に答えた。

(2)「GitHub」を利用したマニフェストの議論・アップデート

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source : ノンフィクション出版 2025年の論点

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